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・MZV-747-J/V "TEMJIN 747J/V"
 MARZで今後主力として運用されるテムジン、747Jのバックス用機体。頭部に特徴的なアンテナをあしらっており、通信機能や索敵能力が向上している。他にもフォワードへの援護強化の為、スライプナーのセッティングが若干ノーマルの747Jと異なる。……ぶっちゃけて言えば、前ビが三発出る例の仕様の機体。
 最後の最後で活躍する描写はないが、ウィスタリア分署に回されてきたこの機体は、正式にMARZの一員となったエイス三査の愛機となり、後に驚異的な撃墜スコアを残すことになる。最も、フォワードのシヨ&ルインがゲテモノ707を駆る為、そのフォローに回ることが多くなるだろう。

・MZV-707-S/X "TEMJIN 707S/X"
 MARZ最後のテムジンにして、707系最強のテムジン。端的に言えば「全乗せ大盛りテムジン」である。XはXenograft(ゼノグラフト)のXである。ゼノグラフト……その「移植」の名が示す通り、今までMARZウィスタリア分署で運用してきた707系や、他から供給されたパーツをごっそりと移植された機体である。
 原型機はエリオンが使用していたテムジン411号機(707S+)であり、主武装にはリーインの412号機のスライプナーMk5を用いている。左腕部にはホワイトフリートから供給されたレディオ・スプライトを装備し、遠距離からの攻撃を防御可能。更には膝下の足回りをシヨの421号機から移植した為、驚異的な機動性や旋回能力を得るに至った。さらに一番の特徴は、大きく張り出した胸部の新造装甲である。二人乗り用のコクピット(シミュレーターと共通規格である)を内包している為、胸部周りが普通の707とは違い新デザインである。
 現在の火星圏で、この機体を上回る第二世代型バーチャロイドは恐らく存在しないだろう。メインパイロットがM.S.B.M.を介して操縦に徹し、サブパイロットが補正をかける。この運用方法によって、極度に過激なチューニングを施されたマシンチャイルド専用機は、フルスペックを発揮することが可能になったのだ。第三世代型の747に匹敵するその性能は、この世で一機のみのスペシャル仕様である。

・ヤガランデ
 幻獣戦機と呼ばれる、恐るべき巨大なバーチャロイド。その仔細は謎に包まれているが、オペレーション・ムーンゲートの時代から存在が囁かれ、パイロット達の間で恐れられている。特筆すべきは、その巨躯から繰り出される圧倒的な火力と、驚異的な耐久力。記録に僅かに残るものはどれも、一般の市場で流通するバーチャロイドの性能を凌駕している。
 エイスのガラヤカが変貌を遂げた白いヤガランデは、本来ガラヤカに搭載されているヤガランデ制御用のコードを暴走させる機能を、さらに強化させていると推測される。よって件の白いヤガランデは、通常でも強力無比なヤガランデをも上回る性能を獲得しているだろう。まさしく白い禁忌のケダモノである。

・MZV-747FU "TEMJIN 747FU"
 とあるアーマー開発室に、少し頭のネジが緩んだ研究者がいた。彼はこう思った……「TRV(戦術偵察VR)としてマイザー系列をも上回り、その上戦闘力も水準を満たしたテムジンを作ろう」と。結果、現行の最新鋭機、747Fをオーバーチューンして出来上がったのが本機体である。恐ろしいことに、完全二足移動で、マイザーやフェイイェンに並ぶ機動力を確保しつつ、空中戦闘能力を強化、そのうえ普通の747Aよりも防御力が高いというトンデモ性能を叩き出している。
 タイプクロスコード、FUが示す通り、本機はファストフレックスアーマー(Fast Flex Armor)を装備されている。これは普通のフレックスアーマーを凌駕する、恐るべきアーマー・システムである。何しろ、市販のものより軽く速く、強く硬いのだ。鮮やかなマーズブルーで塗られた本機は、開発者的には自信作だが、やや操作に対して過敏なきらいがあるらしい。また、アーマー名は制式にはゲイルアーマーとしたいらしいが、恐らくこの名が上層部に認可されることはないだろう。
 尚、他のMARZ用747系列とは違い、ゲームには登場しない小説オリジナルの機体である。

・VR-747 "VR-747 TEMJIN type a8"
 ホワイトフリートの白騎士が駆る最強のバーチャロイド。a9年時点でこれを超える性能の機体は一切無い。まさしく正真正銘、最強のバーチャロイドである。商品として一般に流通するテムジンは愚か、魔改造を施したMARZのテムジンすらも凌駕する、常識の埒外にある機体。そのポテンシャルは別次元のもので、一機で一個師団に相当する戦力が見込める。その強力無比かつ非常識な戦闘能力は、全てシャドウ邀撃の為に振るわれる。リチャード・ラブレスが乗っているのは、747型の初期型がロールアウトした時、その初期ロッドをほぼ買い占めて極限チューンされた機体である。現在では白騎士のほぼ全てが、このa8を使用していると見て間違いないだろう。

・MZV-747HUA "TEMJIN 747HUA"
 アーマー・システム第三開発室が開発した、747HのMARZ仕様。しかしながら、外見こそ747Hに批准するが、その中身は完全に別物である。重いぶん防御力に優れるHold Armorを、軽くより強靭に改良したHyper Hold Armorが装着されている。いわゆるタイプ・クロスコードと呼ばれる一連のMARZ専用魔改造機体である本機は、通常市販される747Aと同等の機動力を有しながらも、747Hを遥かに凌駕する防御力と攻撃力が与えられている。正に、MARZの魔改造を極めた一機である。当然ながら市販はされず、MARZのごく限られたパイロットのみに支給される予定である。
 同時に、エリオン・オーフィル三査がリバースコンバートした機体は、素体となるテムジンがエースパイロット用だった為、747UAへとなった。この「A」は「ACE」を表し、頭部のアンテナも指揮官機ではなく、本機に限ってはエースパイロットであることを表す。同三査が持ち出したテムジンは、もともと747H/exとして稼動していた時機がある為、同じH型ベースの本機とは相性がいいようだ。その特製はエース御用達と言うべき内容で、747HUをも上回る機動力と攻撃力、さらには防御力を得ている。唯一、ウェポンゲージの回復が若干遅くなっている以外は、驚くべきハイスペックと言えるだろう。
 因みに、この747HUが纏うアーマー・システムには「ガーディアンアーマー」という恥ずかしいネーミングが予定されており、正式には747GとしてMARZにのみ配備されるとかされないとか……しかしながら、制式コードに関しては上層部と開発現場で揉めており、未だ決まる気配はない。

・XBV-821m-D "BAL z NAGA"
 本機体、バル・ズィ・ナーガは、バル・ディ・メオラをベースに極端な改造を加えられた、この世で一機のカスタマイズ機体である。上半身こそバル・ディ・メオラに順ずるが、その下半身はいくつものコンテナビットを連結した、長い長い蛇状のものになっている。節の一つ一つがコンテナビットであり、その中にはERLをはじめとする、さまざまな武器が満載されている。その全長は長く、ゆうに100メートルを超えるようだ。まさしく、黄金の悪蛇といった様相である。監督を自称する件の人物が乗っているらしく、情報収集能力にも優れる他、採算を無視した贅沢なチューニングで仕上げられている。通常のバル系機体よりも多彩なオールレンジ攻撃を可能にし、その機体サイズは既に全長だけならば、どのバーチャロイドよりも長い。監督曰く"真のラスボスっぽさ全開"とのこと。

・タイプ・クロスコード
 747型テムジンの三種が正式にリリースされた後、MARZ創始者の「あのお方」が発注した、MARZ用の魔改造アーマー・システムの総称。主に第三開発室を中心に製作されていたが、正式名称等で揉めていたようだ。現行のA型、H型、F型に対応して、それぞれAU型(Advanced Assault Armor)、HU型(Hyper Hold Armor)、FU型(Fast Flex Armor)の三種が開発されている。特にAU型は優秀で、正式にJ型として初号機がロールアウトし、MARZ教導官のチーフが素晴らしいテストデータを残している(もっとも、謎の定位リバースコンバートにより、初号機は消失)。尚、HU型やFU型も完成しているらしく、前者にはガーディアン・アーマーという、開発者のアレでナニな趣味が色濃く出た名称が予定されていた。最も、G型に相当する型式番号は重複が激しく、正式名称になるかどうかは、今のところ不明である。

・MZV-14AZ "Fwi-Yen with AccelHeart"
いつでもどこでもライアット!
限定戦争の秩序と平和を守る為
ついに出ました、ジャッジメント・レディ!!

恐れろおののけ、マーズブルー!
ビックリドッキリ魔改造、
兎に角トヤカク、即鎮圧!

愛と勇気の我等が娯楽、何より大事な一大事業
そこんとこ荒らすは、イけてない証拠!
おまわりさんたら情けは無用、容赦も加減もベリー不要
COME ON! 逮捕しちゃうぞっ♪

 ……頭痛くなってきた、俺にはファイユーブたんレベルのセンスはないみたいだ(笑)それはさておき、アクセル・ハートはビビット・ハートをベースにMARZが極端な魔改造を施した、この世に一機だけのフェイイェンである。本来の用途は広報であり、主に「春の交通安全運動」や、ポスターの撮影等に使用される広告塔である。大きな特徴としては、その外観が、MARZ女性職員の礼服をそのまま模しているところである。鮮やかなマーズブルーの制服を纏い、腰部装甲はなんとタイトスカートである。端的に言えば「婦警のコスプレをしたフェイイェン」と言えるだろう。
 その外観とは裏腹に、市場に出回るビビット・ハートを圧倒的に上回る性能を誇る。しかし、その強力な機動性と攻撃力は、乗るパイロットに負荷がかかり過ぎる為、生身で乗りこなせる人間はいないとさえ言われる。普段から広報でしか使われないのは、この為である。武装はビビット・ハートに準じるが、SWはハートマークではなく、マーズのシンボルマーク状のビームが発射される。巨乳。
 MARZ内では、この機体は、東部戦線ウィスタリア分署に現在赴任中の、リタリー特査本人であるとの噂がある。都市伝説の類で公式発表もなく、本人からのコメントも得られていない。また、本機体が実戦に投入されたという記録も、公式には残っていない。あくまで広告塔であり、その超絶パワーに関しては、MARZ広報部はこれを否定している。

・GUARAYAKHA
 元は、ヤガランデの制御用に、プラジナー博士が設計した特殊なバーチャロイド、VR-011である。それを、リリン・プラジナーが自分のブランドで制式化、少数販売したのが本機体である。作中に登場するものは、その機体色を純白に塗られ、MARZや各企業国家へと牙を剥く。火星戦線南部極冠戦域戦功表彰機「雪の勲」とは違って、本当に真っ白、白無垢のバーチャロイドである。パイロットは、監督の秘蔵っ子、謎の少女エイス。見た目こそ市販の物と一緒だが、恐らくオーバーチューンされていることは想像だに難くない。

・RVR-88T-SP "APHARMD THE EXTRA"
 アファームド・ザ・エキストラとは、監督を自称する敵性組織が運用する、完全無人の遠隔操作型バーチャロイドである。監督に言わせれば、その名の通り、彼が演出する舞台の「エキストラ」ということになる。武装はアサルト・ライフルM-16をRWに装備し、LWは定番のスーパー・ボムtypeEである。また、格闘専用の銃剣「リソースクラック」を持ち、状況に応じて銃に着剣して運用する。兎に角、大量の数が用意されており、圧倒的な物力作戦を得意とする。サーバとなる機体からのコントロールで、全てのアファームド・ザ・エキストラが、完璧に統制のとれた、一糸乱れぬ作戦行動を取る事が可能。現在、神出鬼没で、東部戦線の限定戦争を荒らしまわっている。カラーリングは監督の趣味で、非常に趣味的で前時代的な、トリコロールカラーである。

・MBV-747-H/ex The WON "TEMJIN 747H/ex The Witch Of Nameless"
 レヴァナントマーチと呼ばれる、先年末に戦われた、苛烈な限定戦争。その最中で、敗走に次ぐ敗走を重ねたフレッシュ・リフォーのテムジン部隊を、ただ一機で救った新型テムジン。その正体は、試作型の第三世代テムジンの実験機だった。本機は素体こそ、747系テムジンの性能を完全に再現しているものの(寧ろ、実験機特有のオーバーチューンすら見受けられる)、武装や装甲の大半がダミーという、いわばモックアップの機体である。
 要するに、ハリボテであったが、類稀なる乗り手に恵まれ、驚異的なスコアを叩き出している。フレッシュ・リフォー直営部隊の707型テムジンは、本機にしんがりを任せて、逃げの一手で逃げまくった結果、多くの機体が無事に前線より離脱し、火星対応のJ型に刷新されたのである。また、本機は多くのVOX系を撃破したに留まらず、"朱色の魔女"と恐れられた、アダックスの前線指揮官が駆るライデンをも屠っている。パイロットが女性であること以外、正体不明ゆえに"名前のない魔女"と呼ばれ、さらには747型が開発中だったこともあり、今の今までその存在自体が秘匿されてきた、幻の機体である。

・ジグラット
 別名、処刑戦機。VCa0年に勃発したオペレーション・ムーンゲートにおいて、最終目的地を防衛していた強力な正体不明の四脚歩行型巨大機動兵器。現在はその戦闘データからレプリカが多数作られているが、どうやらオリジナルに能力は劣るようである。電脳暦初の大規模なバーチャロイドによる戦闘、オペレーション・ムーンゲートの最終難関であったことから、どこの企業国家も、新型バーチャロイドのシェイクダウン等に、このデータを用いることが多いようだ。

・マーズシャフト
 火星を貫く、旧暦時代のテラフォーミングシステム。ウィスタリアRJを基部に、コアを貫通して、火星の裏側まで延びる巨大な構造体である。勿論、稼動状態にあり、これのお陰で火星でも、地球と全く同じ環境で人類は暮らすことができる。重力、自転、大気……何から何まで地球を基準にテラフォーミングしてあるが、更なる本格的な惑星改造を前に、人類は先鋭的な進歩を忘れ、電脳暦においては地球圏に引き篭もるようになった。

・ラクシュリー・オーダー
 リファレンス・ポイントが所有する工房艦で、オビーディエンス・オーダーの同型艦。火星衛星軌道上を周回しており、他の艦同様に、リファレンス・ポイントおよびフレッシュ・リフォー系列会社の為に、沢山のラボや研究施設を内包している。ラクシュリー・オーダーには、マシンチャイルドの管理調整をするラボの他、比較的穏やかで快適な居住区域があることで有名である。フレッシュ・リフォーの高級将校なんかは、この艦内にわざわざ別荘を持ってる者までいる。

・MBV-747-G "TEMJIN 747G"
 アーマー・システム第三開発室室長が考案、試作した、恐るべきアーマー・システム。Gはグラビティ・アーマーのGである。さまざまなバーチャロイドの武装で、部分的に使われている重力制御システムを、全面的に取り入れた、画期的なアーマー……らしい。武装は特別にチューンしたマルチアンカーMk3を搭載、その外観は747Fをベースにしているが、過度に飾った感じがいかにもで、開発者の趣味が丸出しである。重力を自在にあやつり、LWには重力場を発生させ敵機を吸い込む、パワーボムMk7を採用。他にも、空中を自在に舞うことができる。ただし、コストや運用の面から、制式採用されることはないだろう。

・MBV-747-T "TEMJIN 747T"
 747系テムジンの先行試作量産機。素体の性能データを採取する目的で少数が作成され、アーマーを何も装備していない。TはTESTのTであり、実戦に耐えうるだけの耐久力はない。……が、一部の物好きの手で若干の改修を施され、少数が市場に出回ってしまったようだ。それでも、生産された機体の多くは、リファレンス・ポイントおよびフレッシュ・リフォーの研究施設などで、引き続きデータ採取等に利用されている。

・オビーディエンス・オーダー
 リファレンス・ポイントが所有する工房艦。武装は皆無だが、巨大な船体内に多くの研究施設や、広い居住空間を持つ。747系テムジンが、火星圏で何とかロールアウトできた背景には、レヴァナント・マーチからくる戦訓や、707系で培った技術に加えて、このような現地で迅速な研究ができる開発環境があった。他にも同型艦が多数、火星圏にオンステージしており、火星軌道上を周回している。

・ウィスタリア・ガードナー
 リファレンス・ポイントが747系の新型テムジン販売促進用に結成した、ウィスタリアRJの自警団。ウィスタリア運営委員会に一方的に決起を通達した上で、勝手に自治活動をしている。その戦力は第三世代型の新型テムジンで固められており、非常に強力。また、火星戦線では目だった活動のない、TSCドランメンとも提携しており、両社の強烈な商戦の尖兵とも言えよう。

・MBV-747-H "TEMJIN 747H"
 ついにリファレンス・ポイントがロールアウトさせた、第三世代型の最新鋭テムジン。彼等はフレッシュ・リフォーを通じて市場への流通を図ると共に、TSCと組んで独自の宣伝行動に打って出た。それが、ウィスタリア自警団、通称ウィスタリア・ガードナーである。最新鋭の747系テムジンによる一個小隊で、ウィスタリア内における暴動や乱闘を、早急に容赦なく鎮圧し、747系テムジンの優位性をアピールすることが目的のようだ。
 ホールド・アーマーを装備した本機は、HBV(重戦闘VR)並みの火力と装甲を実現しており、強力な火力支援機であると同時に、突破力をも持った局地決戦機としても運用された。主に苛烈な戦闘が予想される戦場に配備され、獅子奮迅の活躍で部隊の勝利に貢献したという。数を揃えることが前提のA型でさえ、堅牢なサバイバリティを有していたが、本機の耐久力はそれをも上回る。まさにフルアーマーテムジンである。

・MBV-747-F "TEMJIN 747F"
 ウィスタリア・ガードナーに配備されているテムジンは全部で五機、その内訳はF型が二機、A型が二機、隊長機がH型である。これは限定戦争の前線ではなく、あくまでウィスタリア内での取り回しを考慮した編成だろう。事実、彼等は結成されるや、やりすぎとも思える戦果をあげはじめた。MARZよりも早く事件を嗅ぎ付け、その性能にものを言わせて、圧倒的破壊力で鎮圧する。このリファレンス・ポイントのやり方には、火星圏で思うように利益を上げてない、TSCドランメンも関与しているようだ。
 フレックス・アーマーを装備した本機は、TRV(戦術偵察VR)とMBV(主戦闘VR)の長所を併せ持つ、贅沢なバーチャロイドとしてロールアウトした。これも、747系のテムジン自体が、非常に余力のある機体だからこそ、なせる技である。その使い勝手は中途半端との意見もあるが、部隊に先行しての威力偵察などに猛威を振るった。

・TA17 H "Angelan SH"
 いわゆるエンジェラン『慰撫』、主に前線での士気高揚や鼓舞の為に運用されることが多いようだ。バーチャロイド単体としてみても、完成された戦闘力を持つが……やはり、一番の特徴はその清楚で可憐なビジュアルにあり、各方面で人気がある。この系列の機体が画面に映ると、視聴率が上がるとまで言われている。

・リファレンス・ポイント
 フレッシュ・リフォー子飼いの第七プラント。元は小さな交易ジャンクションだったが、稀代の傑作機、707系テムジンの開発で一躍有名となる。しかし自社ブランドでの販売ルートを持たず、市場にはフレッシュ・リフォーを通してしか影響力を持たない。故に、独自の営業力を模索しているようだが……

・TSCドランメン
 地球南米に本拠地を置く第四プラント。あのRNAの最大手スポンサーとして名高く、かつては第二世代型のエンジェランを開発するなど、精力的に活動していた。しかし、いわゆるオリジナルVR『アイス・ドール』がフレッシュ・リフォーに半ば簒奪される形で奪われると、不気味な静観を決め込むようになる。結果的に反フレッシュ・リフォーの急先鋒として、地球圏ではオラトリオ・タングラムを大々的に後押ししている。反面、火星圏では打撃艦隊フォースの結成以外、めだった市場活動がなく、その足がかりを模索中だった。故に今回、親フレッシュ・リフォーの立場にあるリファレンス・ポイントとの提携という、思い切った手段にでる。

・MBV-747-A "TEMJIN 747A"
 ついにその全容を現した、第三世代型テムジン。リファレンス・ポイント会心の傑作機として、後の世に語り継がれる名機である。その最大の特徴は、アーマー・システムの採用による汎用性の高さである。各種アーマーを換装することにより、状況に最適な装備で戦う事ができるのだ。
 アサルト・アーマーを装備した本機は、最もスタンダードな747系として、火星戦線に投入されるや、またたくまにフレッシュ・リフォー系列企業の劣勢を覆した。ウェルバランスに優れる上に、驚異的なサバイバリティを誇り、同数での戦いにおいて負けはないとまで言わしめる程である。火星戦線初期やレヴァナントマーチでの戦訓が十二分に生かされており、火星圏最強のバーチャロイドと言っても過言ではない評価を得るに至った。

・アジム&ゲラン
 C.I.S.より現実世界に迫り来る、謎の脅威。地球圏で絶賛開催中のオラトリオ・タングラムでも目撃例が多数あるが、基本的には正体不明の存在である。また、木星圏でもジュピター・クリスタルを介して出現するらしく、それを排して水際で食い止める為に、打撃艦隊「フォース」が組織されることとなった。なお、男性型をアジム、女性型をゲランと呼称する。
 さて、ノルエちゃんが珍しく真面目に仕事をしてるってことは、どうやら木星圏でのアジム&ゲランの出現と何らかの因果関係があるようだ。作中時間は現在a8年夏、時期的にはバーチャロン・フォースVer.7.5初期をイメージして書いている。因みにバーチャロンMARZのゲーム内時間はa9年。さてさて話を戻そう、a8年夏、マシュー艦隊は木星圏に展開しているという設定になっている(あくまで独自設定で)……多分、打撃艦隊「フォース」と小競り合いしつつ、ジュピター・クリスタルに関する権益を手に入れようとしてたら、アジム&ゲランが湧いて出てビックリ、至急救援物資乞う! みたいな流れじゃないかな〜?

・第六工廠八式零型急 "景清「花」"
 サッチェル・マウスが開発した、近接戦闘用特化型バーチャロイドの試作機。春靄に近し遠しと狂い咲く、風に任せて散るも散る花。そのひとひらにこそ、乾坤の一擲が宿り舞う。
 本機は桜色に塗装され、その容姿はまるで山伏のような外装をしている。頭部なども独特な意匠で、武装も錫杖「連歌」と独特である。打撃用武器だが一応、射撃も(申し訳程度に)可能。他にはLRに法螺貝型広域Vクリスタル干渉兵装「連咆」があるが、エイスは使わなかったようである。これで試作型の景清は全てが出揃ったが、これらは全て市販される景清の母体になったに過ぎず、流通することはなかった。
 また、試作機が揃いも揃って流出した挙句、あまり評判の良くない事件を続けて起こした為、サッチェル・マウスによる景清の販売促進は極めて消極的なものにならざるをえなかった。結果、景清は火星戦線では稀少価値の高い機体となるのであった。

・VR-707 "VR-707 TEMJIN type a3"
 ホワイトフリートの白騎士のみが駆ることを許される、純白のテムジン。グリンプ・スタビライザーを装備し、市販されるテムジンとは一戦を隔する高性能を誇る。第二世代型の707系テムジンをベースにチューニングされた本機体は、マーズクリスタルの影響下にある火星戦線においても、第三世代型の追従を許さぬ高性能機である。
 本機体の特徴として、通常のテムジンとは異なる装備があげられる。左腕部には防楯ユニット「レディオ・スプライト」が装備されている。フェイズ・シフト・システムでスライプナー同様に変形するこの防御装備は、展開時は遠距離からの強力な射撃を完全に無効化する事が可能であり、応用次第で攻撃にも転用できる。
 また、スライプナーに代って装備されたフレキシブル・ランチャ―「リキッド・ディクティター」は、変形こそしないものの、高出力高火力のメインウェポンである。また、レディオ・スプライトと組み合わせて運用することで、ラジカルザッパーとは比べ物にならない強力な射撃攻撃を放つことも可能。勿論、近接戦闘用のソードにもなる。
 もしこの機体がゲームに存在するならば、単純に「硬くてLWが特殊なJ+、しかももっと速い」だろう。ターボRWなんかは、レディオ・スプライトが弓状に変形し、そこへリキッド・ディクティターを番えてビームによる射撃を行うとか、恰好いいんじゃないだろうか。後はLWが、相手の射撃攻撃を無効化する(でもクセのある)バリア展開系の武装になるかと思われる。ターボLWで特大バリアが一定時間滞空、とかね。特殊技はやっぱ、グライディングラムかな。妄想だけどね。

・ストリート・ギグ
 707系のテムジンが市場に流通し、オラトリオタングラムでMBVとして活躍をはじめた時期。前線の兵士達の間で、ブルースライダーを用いたある余興が流行しはじめる。きっかけは偶然、とあるパイロットが突撃時に失速し、フォローを試みる際に生まれた。以降、激しい戦闘の合間に、パイロット達は息抜きにとモーションデータとしてそれを取り入れる。
 かくして、ブルースライダーによる曲芸飛行がはじまった。それらは戦場を飛び出し、限定戦争に参加しない若者達を巻き込んで、アンダーグラウンドなムーブメントとして蔓延していった。一部の熱狂的な支持者に支えられ、今日までアチコチでテムジンが宙を舞っている。様々なトリックが編み出され、それを使いこなす者達はネットワーク上でエースパイロットと同等か、それ以上の凄腕として祭り上げられている。

・清算裁判
 電脳暦に世界が刷新されてから、従来の司法倫理は用をなさぬものとして葬られた。代って新世代の価値観として台頭したのが、清算裁判である。これは民事や刑事に関わらず、事件に関わるあらゆる側面を金銭的に清算するという制度である。死刑制度は影を潜め、求刑される量刑は全て、限定戦争での兵役として贖われる。罪人は皆、自らの人生を、その一部を戦争に売り払われるのだ。
 バーチャロイドが戦場の主役になってからも、限定戦争という一大事業は常に人材を求めており、その分野は多岐にわたる。そしてそれらは全て、犯罪歴を問うなどという非効率的な古い習慣から解き放たれており、前線ではさまざまな人間達が今日も戦っているのだ。パイロットはいうに及ばず、歩兵や整備兵、広報や兵站……戦争はいつでも、人類にとって一番大きな「お仕事」である。

・第六工廠八式零型破 "景清「月」"
 サッチェル・マウスが開発した、近接戦闘用特化型バーチャロイドの試作機。ただ朝を待ちて夜空に輝けば、掲げたるは妄念の刃か。月夜の薄明かりにただただ、斬り散らされてうたかたと消えん。
 本機は主武装に雌雄一対の小太刀「照月」「残月」を装備し、超密着近接戦闘をコンセプトにチューニングされている。試作機ゆえに一際強力な怨念が固着されており、それは搭乗者の暗部を際限なく出力に変換していたようだ。元よりエース級のノーマン=ライツ元大尉の手で、いままで数々のバーチャロイドを路地裏に沈めてきた。基本的な外観は、後に市販される景清と同じだが、漆黒に塗られた機体は、兜の前立てが三日月の形になっている。

・MARZ丼
 ウィスタリア分署内の、職員食堂の名物料理。アツアツのトンカツを卵とじにして、天津風の甘酢あんかけで味付けした丼料理。よく取調室で出るが、料金は容疑者持ちである……本来ならば。実際の取調室で出るカツ丼も、現実では全て容疑者が出前で取るのが普通である。ベテラン刑事がおごってくれるのは、テレビドラマだけである。

・第六工廠八式零型序 "景清「雪」"
 サッチェル・マウスが開発した、近接戦闘用特化型バーチャロイドの試作機。雪は吹雪、凍てつけることの。魂まで凍れる悪鬼羅刹となりて、並居る敵を蹴散らし屠る。繰りし者の憎悪にて、凍える覇気に霜を走らせん。
 本機は主武装に巨大な野太刀「霰乃剣(ひょうのつるぎ)」を装備し、強力な近接戦闘による一撃必殺をコンセプトに調整されている。また試作機の為、後に量産される各種景清よりも、贅沢なチューニングが施されている。素人に毛が生えた程度のトモエが、不意打ちとはいえプロのパイロット達を手玉に取ったのは、ひとえに機体の性能によるところが大きい。また、悪七兵衛景清の怨念を定着させたVコンバーターは、トモエの抱えるコンプレックスとの相性もよかったようだ。
 外観的には、後に製品化されてリリースされる景清と大きくは違わない。兜の前立てが雪の結晶を模したものになっており、機体のカラーも真っ白で統一されている。サッチェル・マウスは本機体を含め、三機の試作型景清を、とある人物へ提供したとMARZに報告をしている。それは、MARZ創設者である人物の圧力があったからと言われている。

・エースさん、いらっしゃーい
 ウィスタリアバーチャロイドチャンネルの人気番組。毎週、色々な企業国家やコーポレートアーミーから、様々なエースパイロットを招いてインタビューを試みるという主旨である。元々ウィスタリアRJ自体、非常に土地柄としてバーチャロイドが生活に密接に関係してくるため、それを操るパイロット達も身近な存在である。そんな中、観光客も地元の人間も、エースパイロットには強い興味を持っている。その為、協賛企業も多く(無論、自社のパイロットが出演すれば、それだけで大きな宣伝効果が期待出来る)今やお茶の間のお昼の定番になっている。
 因みに出演すると、恥ずかしい通り名が貰えるが、出演した誰もがその名を使いたがらないのは有名な話である。

・マシンチャイルド
 かつて0プラントで、人工授精と人工子宮によって生み出された、バーチャロイドに適正の高い能力を持った人間達。今では非人道的かつ、採算に合わない事業として禁止されている。エリオン=オーフィルは、公式ドラマCD『電脳戦記バーチャロン カウンターポイント 009A Episode#16』に登場するブラックオニキスと同じ人種ということになる。
 因みに件のドラマCD、何度か聴いてるんだけど…ブラックオニキス君の本名をフェイたんが呼ぶ度に、なんか尻がむずがゆくなるのは俺だけでいい。話が脱線したが、ウィスタリアのエース、蒼翼の騎士ことエリオン=オーフィル三査の驚異的なバーチャロンポジティブには、こうした事情があった訳だ。いうなれば強化人間、かな?

・有限会社ベルゲパンツァー
 ウィスタリアRJに拠点を置く回収業者。トモエ=ハーレントを代表取締役社長とし、社員はノーマン=ライツ以下数名という超小規模な会社である。その業務内容は、時には限定戦争のレギュレーションに抵触するようなものだが、概ね真面目に働いているようだ。先代の社長が亡くなったおりに、倒産の憂き目を見る者の……何とか娘のトモエが後を継ぎ、今は立派に経営している。らしい。おりしも謎の連続辻斬り事件で、街中での仕事が増えたようで、景気はまずまずのようだ。

・VOX Y-405 "Yang"
 民間用にデチューンされたVOX系改造機体で、回収作業用の大型クレーンを装備した、巨大な腕のスケルトン・ユニットを装備している。デチューンといってもトルクは太く、ライデンみたいな重バーチャロイドでも軽々と運ぶ能力がある。回収業者の定番になっており、細部は異なるものの、あちこちで使われている。ベルゲパンツァーが所有している物は、山吹色に塗られているようだ。

・YZR-]V end "SPECINEFF 13 "The End""
 第三世代型スペシネフの中でも、支援攻撃に特化した異質なバリエーション。本機体の特徴は、敵機へのさまざまな機能制限兵装にある。機体の性能自体は突出したところはないが、その特異性ゆえに戦場では交戦を避ける部隊もいる始末。こんなマニアックなバリエーションまで開発する辺り、サッチェル・マウスの開発陣は随分とスペシネフ系にも力を入れているようだ。一般販売も最近になってやっと開始され、比較的高価な機体にも関わらず、順調な売れ行きをみせている。
 つーか格好良くて俺も罪の次に好きなんだけど、何かヤラレキャラになっちゃった……もっとババーンとネチネチ活躍するところを書きたいなー(笑)

・CGS type b2/p
 テン・エイティが標準で装備している"CGS type b2/e"を、教習訓練用に改造した武装。ビームの代わりに塗料を発射する。また、ブレードも光で刀身を再現しただけで、実際に斬ると、斬撃のモーションに合わせて塗料が出る。ようするにでっかいスプレー缶である。MARZが独自に改造したもので、707系のテムジンでも問題なく運用できる。高度なシミュレーターで実戦が完全に仮想世界で再現可能になっても、実機による模擬戦をMARZは行うことを常としているようだ。

・VOX A-300 "Age"
 低コスト化を図りつつ、実戦に耐えうる火力と機動力を実現したVOX系のバリエーション。ダンと並んで、最も多く火星戦線で見られるVOX系である。その最大の特徴は、簡素化された構造ゆえのメンテナンスの容易さであり、過酷な火星戦線の様々な戦況で、柔軟に対応出来る機体として今も好評販売中である。因みに作中に出てきた機体は、主に先駆けとして斥候のように運用されているようだ。また、かなりの大部隊の所属らしく、個人の趣味を反映したアームズアートの他に、大手スポンサーの広告等がペイントされていたようだ。

・VOX J-500 "Joe"
 装甲を増加し、コンパクトに火力をまとめたVOX系のバリエーション。安価で信頼性のおけるアタッカーとして、様々な部隊で運用されている。多少クセのある武装をもつものの、その操縦性はVOX系ゆえの素直なもので、壊れ難く長持ちする機体として現場の兵達には評判がいい。作中では他の機体と揃ってテンパチに一蹴されてしまったが、本来ならばこのようなことはまず見られないだろう。大手スポンサーの広告がペイントされているが、エルベリーデに塗り潰されてしまった為、出撃時のペナルティが心配される。

・VOX J-504 "Jane"
 ジョーの再設計機で、同じコンセプトながら左右の副腕(スケルトン・ユニット)に装備した武装が異なる。VOX系バリエーションの例に漏れず「安い、安心、壊れ難い」と、現場での評判は上々である。ジョーと同様、慣れてしまえば扱いやすく、火星戦線のあちらこちらで活躍している。これらVOX系は、大量のテン・エイティを実験材料にした末にロールアウトしており……その経緯を省みれば、今回の事件はなんとも皮肉な結果になってしまった。本来ならありえない番狂わせだが、MARZの魔改造とエルベリーデの腕ゆえ、仕方がないと言えば仕方がない。

・MZV-707-S+ "TEMJIN 707S+"
 遂に最終調整と改修作業を追え、戦線に復帰したテムジン411号機の新たな姿。MARZで唯一、エリオンの為だけに造られた機体である。その仕様は基本的に、市場に流通している"TEMJIN 707J+"と同様であるが……乗り手に合わせて、MARZウィスタリア分署の整備班が徹底的にチューニングした為、非常に過敏でデリケートな機体に仕上がっている。そのピーキーさたるや、エリオン以外に動かせる人間はいないというシロモノ。機体の基本フレームからVコンバーター、マインドブースターまで妥協なく魔改造が施されている。
 本機体の特徴として、J+と同様にマインドブースターへマウントされた、グリンプ・スタビライザー(タイプE)が上げられる。局地戦様に調整されたJ+を、より乗り手に合わせて最適化、オーバーチューンした物がS+だと思って貰って構わない。マーズブルーに縁取られた白い翼は、マインドブースターの力を効率良く限界まで引きずり出すのだ。その機動力や運動性は、とても第二世代型バーチャロイドとは思えない。また、武装もスライプナーMk4+に改められ、瞬間の爆発力に優れる。何より本機体がオンステージしたことにより、MARZウィスタリア分署はようやく定数での治安活動が行えるようになった。チーフ不在の現時点で、間違いなくMARZ最強のテムジンである。

・MZV-707-S/V Li-Ying Custom "TEMJIN 707S/V Li-Ying Custom"
 もともとスライプナーこそ違うものの、707S/Vは仕様的には、市場に流通している707J/cと基本は一緒であった。そんな707S/Vの一機であるテムジン412号機に、たまたま回ってきたスライプナーMk5を搭載したのが本機体である。因みにこのスライプナーMk5も、苦しいMARZの台所事情で、余った在庫を買い叩いた物らしい。買ったはいいが、テムジンよりスライプナーが多くてさあどうする、というのが中央の悩みで……分署に丸投げした形になる。
 その外観上、マーズカラーに塗られた707J/c……かと思いきや、中身は随分と違うらしい。機体自体の調整に手間取ったテムジン411号機と違い、テムジン412号機はスライプナーと機体と、そしてパイロットのマッチングに時間を掛けている。リーインはどうやら、遠距離からの狙撃精度を向上させた機体として仕上げたようだ。また、彼女の性格上、一回り巨大なブリッツ・セイバーなども大いに役立つだろう。
 ……問題は、狙撃手ゆえにあまり絵映えしないところであろうか(笑)

・YZR-8000Ω "MYZRΩ"
 存在が噂される、マイザー系究極のバリエーション。そのスペックは日を追う毎に肥大化し、ネットという広大な海で巨大な怪物へと進化した。正しく、電脳暦に生まれた都市伝説……しかし最初は、ただの他愛も無い、ありふれた話だったのである。
 マイザー系がリリースされた直後、とある部隊に、バイパーUからの歴戦の女性パイロット(後に渋々リファレンス・ポイントに出向し、747F/exにて実戦データ採取を行っている)が居た。彼女の手でマイザー・デルタが、華々しくデビュー戦を飾ったのがそもそもの発端である。戦局全体から見ればささやかな戦果でも、被害者達には恐るべき最新鋭の怪物バーチャロイドに見えたのだろう。
 そして市場にマイザー系が出回り、バリエーション展開が一段落すると……話は再び蒸し返される。市場のマイザーは普通のバーチャロイドだ、ではあの時のマイザーは? なんのことはない、ただ乗り手が少し良かったのと、初遭遇時のインパクトが記憶を昇華させているだけだが。
 こうして一人歩きを始めた噂話が、マイザー・オメガの名を得るのに、そう時間はかからなかった。そしてその脅威は、実際にウィスタリアRJを襲ったのである。しかしここに、一人歩きする噂に頭を悩ませるサッチェル・マウスの開発陣の苦しい胸のうちがあった。マイザーには現状、そのようなバリエーションは存在しないし、作ろうとしてもそんな高性能機は製品としてペイできない。無論、火星戦線のレギュレーション違反でもある。しかし、そんな高性能機を作れるとしたら……デモンストレーションモデルとしてなら、作りたい。技術屋特有の好奇心と探究心が滾ったが、実際に作業は難航した。
 そんな折、憔悴しきった彼等に転機が訪れる。デモンストレーションとしてのマイザー・オメガであれば、何も実機を製作する必要はない……そう告げられて、開発陣は一つの過ちを起こした。自作自演である。毎回、爆撃コース上のカメラに、適切な角度のCG映像を潜りこませ、レーダーにはウィルスで、あたかも本当にマイザー・オメガが飛んでいるように見せかける。そうして、爆撃される予定の場所で、イータに搭載される対地爆弾を手動で爆発させていたのだ。
 この事件はMARZウィスタリア分署の手により解決を見たが、保釈された開発陣の一人は次のようなコメントを残している――「第二、第三のマイザー・オメガが現れないという保障は、一切ないのだ……私は、その作り手にならないと断言もできない」

・キビツ作戦
 対マイザー・オメガ用にルインが考案した、前代未聞の一点突破迎撃作戦である。バックスは全エネルギーをスライプナーに投入してブルースライダーを起動、これを投擲。フォワードはそれに乗って加速後、限界速度領域でさらにブルースライダーで再加速。目標と交差接触、これを迎撃する……どこのコーポレートアーミーでも、こんな作戦を立案したら即刻クビである。
 因みに、普段とは違い「ただブルースライダーを射出するためだけ」にテムジン422号機がフルパワーを投じるため、初撃の段階で普段の数倍のスピードが出ている。そこからさらに、テムジン421号機の全パワーでのブルースライダー……慣性の法則? 知らんがな(笑)因みに本作戦は、二段階の加速に使うスライプナーを二本の矢に例え、吉備津彦命の温羅退治伝説が残る、シヨの母国の吉備津地方から名前が取られたらしい。結果的には不発に終ったが、当ればどんなバーチャロイドとて、致命傷は免れないだろう。最も、完全に真っ直ぐに突っ込んでくる相手限定でしか使えないのだが。

・MZV-04-10/80adv "10/80 adv"
 本機はMBV-04-10/80adv、通称テンパチをMARZ仕様にチューニングした改造機体である。尚、ゲームには登場しない本作オリジナルの設定である。その性能は、元の機体に順ずるものの……僅かにだが、各性能が申し訳程度に向上している。何より、アダックスより安価で購入出来た為、地方の小さな派出所では主力として運用されることとなった。MARZウィスタリア分署ではエルベリーデ・フォン・フェステンバルト一査が搭乗。一応、書類上はテムジン431号機と登録されているが……皆、テンパチと呼ぶ。
 そもそもアダックスはMARZの存在に否定的で、当初VOX系の購入を打診したMARZに対し、その供給を一度は拒絶した。しかしMARZは台所事情もさることながら、実際の治安維持活動に苦戦しており……結果、テン・エイティの購入に踏み切ったのである。
 アダックスも第三世代型をロールアウトさせる際の研究素材として、大量のテン・エイティを在庫として抱えており……両者はここにきてやっと、利害の一致を見せた。アダックスは未だにMARZを拒絶しているものの、公での取引で在庫がさばけるとあって(多くの場合、テン・エイティは公に出来ない流通経路で何とかさばいていた)表上は渋々、しかし内心嬉々として取引に応じた。
 尚、MARZ創始者の「あの方」はこの時期多忙で、ホワイトフリートが新型テムジンによる特殊任務への大攻勢をかける陣頭指揮にあたっていた。その為一時的にではあるが、MARZを影から支える力が薄れていた為……アダックスからはやはり、VOX系を購入して配備することは適わなかった。

・MARZ現場指揮車
 海賊騒ぎによる戦力激減時に、唯一稼動出来るテムジン411号機を中心としたシフトが組まれる中……MARZウィスタリア分署は、第一小隊バックスに「情報収集と管理、補佐」の仕事だけはさせることにした。これはリタリー隊長の判断であり、ホァン=リーイン三査も強く望んだ結果……この奇天烈な特殊車両が急遽作られた。
 作らされた整備班は仕事が増えるので不満を漏らしたが……イジる対象を見て態度を急変させた。
 こうしてMARZ現場指揮車は生まれた。普段からパトロール用に使っている、この時代共通規格の車両が多数ウィスタリア分署にはあるのだが。要求されたのは「テムジン411号機の起動に追従しつつ、現場で柔軟に情報処理ができる車両」であった。結果、リタリー特査が自ら提供した私物である、旧暦時代のガソリンエンジン車に、テムジン412号機のバックアップメモリと電算機材一式を搭載した車両が出来上がった。
 この車両は後に、指揮車としての仕様のままリタリー特査に返却されており、以降は彼女はこの車両で現場に出る事もあったとか。ただし、リタリー特査自身を見た者は誰一人としていない。尚、1.6リッタークラスのハッチバックらしい。車種はご想像にお任せシマス。

・第三世代型テムジンについて
 707系テムジンの火星圏での劣勢を鑑みて、フレッシュ・リフォーは傘下の第七プラント「リファレンス・ポイント」に第三世代型テムジンの開発を命じる。それは、素体となるテムジンに各種アーマー・システムを用いて、様々な戦術ニッチェを得られるマルチタスクバーチャロイドの開発要求だった。
 リファレンス・ポイントは「ざけんな、無理だっちゅーの!」と思いつつやってのけた。
 以下に、リファレンス・ポイントが開発に着手した747系第三世代型テムジンの一部を列挙する。因みにこれらは全て、作中では未だ「開発段階」であり、登場するのは物語の終盤になる。フレッシュ・リフォーは現在、MBVとして707系を使わざるを得ず、747系の開発にリファレンス・ポイントは必死だが……それはまた、別の話。尚、アーマーシステムはA〜Zまでがあり、中にはそれは恐ろしいペーパープランも……リファレンス・ポイントにはどうやら、優秀だが酔狂な人材がいるようだ。

・MBV-747-A "TEMJIN 747A"
 最もスタンダードな、それでいて無節操に堅牢且つ強靭なオールラウンダー。恐るべきはその卓越したバランス性能であり、全ての面において既存の第三世代型を凌駕する能力を与えられている。最後発の第三世代型ならではの高性能で、作中ではまだまだ登場は先だが、707系テムジンとは別次元の安定性を誇る。因みに《A》はアサルトアーマー(Assault Armour)のAであり、攻守共にまったく隙がない。

・MBV-747-H "TEMJIN 747H"
 高火力と重装甲を主眼に置いた機体。ライデンに代表されるHBV(重装甲重装備VR)のニッチェを持ちつつ、テムジン特有の癖の無い機動をも実現している。突出した高出力で、市場に出回るや獅子奮迅の活躍で戦場を駆け抜けた。一見して支援VRに見えるが、見た通りの「フルアーマーテムジン」として攻める機体である。《H》はホールドアーマー(Hold Armour)のHであり、強固な防御力を誇る。

・MBV-747-F "TEMJIN 747F"
 MBV(主力戦闘VR)とTRV(戦術偵察VR)を併せ持つ、軽快且つ高戦闘力を有するテムジン。こんな贅沢な仕様を許容できるのも、素体となる747系の余力がなせる技である。性能的には第六プラント「サッチェル・マウス」のマイザーに近く、数を揃えての集団戦から、単機での強行偵察もこなす器用さが取り得。《F》はフレックスアーマー(Flex Armour)のFであり、747系屈指の運動性と俊敏性を誇る。マイザー乗りの中では賛否両論だが、フレッシュ・リフォーの直轄部隊では重宝されている機体である。

・MBV-747-T "TEMJIN 747T"
 747系テムジンの中でも最初期に、テストタイプとして極少数が生産された、いわば素体のテムジン。それでも改修時に申し訳程度のアーマーが着せられているが、被弾即撃墜の脆弱な装甲である。変わりに軽快な運動性能を誇るも、よほどの腕がなければ乗りこなすことはできないだろう。《T》はテストアーマー(Test Armour)のTであり、防御力は無いも同然。本来ならばフレッシュ・リフォーは、本機を実戦投入する予定は無かったのだが……極一部に熱狂的な支持者がおり、保管庫より数機が流出したらしい。
 また、各種747系テムジンは指揮官機のみ、アーマーブレイクにより装甲を強制パージすることで、747Tに近い性能を得ることができる。

・MZV-747-J "TEMJIN 747J"
 少ない予算で一機だけフレッシュ・リフォーから購入し、MARZ創始者の「あのお方」のテコイレで魔改造した747系テムジン。そのポテンシャルたるや、同系列の747Aを遥かに凌ぐ。恐るべき性能を秘めたリーサルウェポン…《J》はジャスティスアーマー(Justice Armour)のJであり、ハッキリ言って第三世代型最強のバーチャロイドと言って差し支えないが……数がそろえられない。初号機はチーフが受領したが、何故か現在行方不明になっており、MARZの各分署に配備されるのは当分先になるだろう。

・MBV-747-A/ex "TEMJIN 747A/ex"
 最もスタンダードな第三世代型テムジンの実験機。火星戦線のアチコチで評価試験が行われた。素体に試作型のアサルトアーマーを着せた本機は、7機が生産されたと記録に残っている。その内、6機はホワイトフリートに供給され、いち早く潤沢な予算で熟成され、白騎士として実戦配備された。残る1機は、MARZがなけなしの予算でなんとか買い付け、さらに赤貧に喘ぎながらリファレンス・ポイントに改良を委託……かくして、747Jの初号機が完成し、全MARZでも最強の教導官であるチーフに託されるが――なんと、チーフは機体の受領後に謎の失踪を遂げてしまう。
 そんな訳で、747系のテムジンはどれも、現段階では開発中の域を出ず……市場に出回るにはまだ、今暫くの時間を要することになる。予断だが、チーフが受領した747J初号機の完成度は、非常に高かったといわれている。また、ホワイトフリートが取得した6機の747系は、反則とも言える贅沢なチューニングが施されて今も「とある特別な任務」についている。

・MBV-747-H/ex "TEMJIN 747H/ex"
 フレッシュ・リフォーは707系テムジンが火星戦線で「辛うじて動けるけど戦力にはならない」と悟るや否や、傘下のリファレンス・ポイントへ第三世代型テムジンの発注をかける。そうして、急ピッチで747系のテムジン開発が始まった……正に突貫作業である。
 同時に、707系テムジンをG型からJ型へと刷新するべく、撤退戦……後にレヴァナントマーチと呼ばれる激戦が行われたのは周知の事実だが。その厳しくも悲壮な戦いに、本機は一機だけ投入された。正に八面六臂の大活躍でしんがりを努め、エノア=コーニッシュの指揮の元、多くの707系テムジンを救い、数え切れぬVOX系を撃墜した。因みにパイロットは見目麗しい女性だったという。
 因みに「ex」は「experiment」の略である……つまり、実験機なのだ。本機は後の747Hのベースとなるモックアップで、クラウドスラップは片方がダミー、両肩のロケットランチャー&ミサイルボックスも重量計算の為だけのダミーという酷い仕様だった。
 しかし乗り手は押し寄せるVOX系を次々と撃墜……リーネ=リーネ中尉のライデン(E0型)をも擱坐に追い込んだのは事実である。マルスに祝福されし女神が駆るこの機体は、マビーナ=トルケの「テムジン敗走録」に記述があるが……未だ開発中の747系の機密を守る為、表記は曖昧である。

・MBV-747-F/ex "TEMJIN 747F/ex"
 フレッシュ・リフォー上層部が、マビーナ=トルケにシェイクダウンを依頼した機体。作中時間軸では未だ開発中の747系テムジンのバリエーションの試験機なのだが……マビーナ氏曰く「モックアップ」だそうで。その通り、後に747Fとして市場に出回る機体の、その運動性能や操縦性をチェックするだけのハリボテ機体である。あくまで、機能をチェックするだけの機体なので……装備されたマルチアンカーはヘッポコな威力で、兎に角「こゆ感じの作りたいんだけど」というプロット段階の機体である。
 そりゃーマビーナさんも搭乗拒否しますわ……因みにこの機体は、とある熟練マイザー乗りが出向してきて、無事に評価試験を終えることになる。乗り手が渋々、しかし熱心に煮詰めた本機は、後に市場に出回り猛威を振るう747Fのベーシックデータを多く残すこととなった。

・YZR-8000Γ "MYZRΓ"
 強行偵察型に特化した、先々代のバイパーU、TRV-06バイパーのTRV(戦術偵察VR)のニッチェを継承したマイザー。あらゆる環境での情報収集と、得られたデータを持ち帰ることに主眼を置いた調整が施されており、情報収集能力とサバイバリティに特化している。
 ウォーライターとして限定戦争の戦場を取材するマナービ=トルケにとっては、非常に使い勝手のよいバーチャロイドだと言えよう。最も、フレッシュ・リフォー上層部としては、自社の製品(それも試作段階の危い機体)を使って欲しかったようだが。渋々フレッシュ・リフォー限定仕様カラーに塗って与えたようだ。それ程までに、広報要員としてマナービ=トルケは重用されているという証拠でもある。

・HBV-512-E0/c "RAIDEN 512E0/c"
 アダックスが作成した、第三世代型ライデンの先行試作機。その性能は突出したところもなく、コクピットに鬱陶しい程に設置されたデータロガー(データ収集用の機器)以外は、普通のE1型と何ら変わることはない。強いて言えば、第三世代型ライデンで削除された「あの機能」が実装されているくらいか。
 レヴァナントマーチと呼ばれる一連の限定戦争で、リーネ=リーネ中尉が搭乗した本機は多大な戦果を上げる。707系とはいえ、テムジンを42機(フレッシュ・リフォーの公式発表では38機)屠り、正に朱色の魔女として逃げ惑うテムジンを狩り尽くした。その後は、アダックスの宣伝の為にリーネ中尉から取り上げられ、長らく本社に飾られていたが……火星戦線東部戦域戦功表彰機「砂の勲」にリペイントされ、リーネ中尉の元に帰ってきた。因みにリーネ中尉が以前使っていた朱色のE1型は、これのレプリカとして貸与されていたものである。

・YZR-]V karman "SPECINEFF 13 "The Karman""
 本機スペシネフ「業」は、スペシネフが第二世代型から第三世代型へと移行する途上で生まれた、いわば試験機である。その為、武装はRVR-87(第二世代型スペシネフ)に準じている。しかしながら、新型のEVLバインダーに合わせて、本機特有の「コンプレックス・ディバイサー」により、その攻撃力は市場に流通している第三世代型の三機種をも凌ぐ。コンプレックス・ディバイサーとは、搭乗者の劣等感を増幅してVクリスタルの活性化に転用する装置であり、特殊なコンプレックスを抱く者ほど性能を引き出せる。
 しかしながら、己が抱える劣等感を刺激されながら戦い続けることが可能なパイロットも少なく、また罪、戦、終の三機種がロールアウトしたこともあって、業はその役目を終えたかに見えた。だが、その機体はマシュー艦隊の補給艦ロシナンテで眠っていたところを、退屈していた同艦艦長によって見出され、歴史の表舞台へと姿を晒すことになった。
 因みにキャプテン・ノルエがどんなコンプレックスを抱えているかは、WVCの徹底的攻勢取材でも明らかにされてはいないが。旧型とはいえMARZチューンのテムジンを一蹴するだけの性能を引き出しているからには、それなりのものだと思われる。モノクロームに塗られた機体は後に「土曜六時の死神」としてウィスタリアの疫病神兼人気者になることに……WVCとしても、安定したニュースソースの存在はありがたかったし、視聴者もそれを期待し、MARZは毎週苦渋を舐めさせられることになる。……暫くの間は。

・ロシナンテ
 マシュー艦隊所属の補給艦。武装は無いに等しいが、物資調達(という名の略奪)の為にVRが多数配備されている。それは全てリアルカラーのマイザーで統一されており、大きな髑髏マークがペイントされている。無論、ロシナンテにもデカデカと描かれており、これはマシュー艦隊本隊の「火星メディアへの配慮」だといわれている。つまり「ぐだぐだ言うより海賊だって言われたほうが解りやすいっしょ?」という意味らしい。
 また、艦長自らも専用機で略奪に参加することが多いようで、定刻通りにウィスタリアのどこかを毎週襲っている。非常に迷惑な話で、MARZも対応に追われているが……残念ながら、MARZ創始者の「あのお方」が圧力をかけても、なかなか上手く話はまとまらないようだ。
 ロシナンテは木星と火星の間を、ちょうど一週間で往復する。土曜日に火星に到着し部隊を展開、略奪品を満載して抜錨。木星に展開する本隊へと届け、また火星へとんぼ返り……ロシナンテ(うすのろ)の名に反してなかなかの快速艦である。

・YZR-8000Η "MYZRΗ"
 マイザー系の高機動性をあえて犠牲にすることで、テムジンやアファームドのようなMBV(Main Battle Virtuaroid……主力戦闘用バーチャロイド)としての戦術ニッチェを持たせたバリエーション。高火力の攻撃機として高い評価を得ており、数を揃えての集団戦で真価を発揮する。マシュー艦隊の主力バーチャロイドとして活躍するほか、市場でもかなりの数が出回っているようだ。
 因みに前回、デルタの項で触れた毒蛇三姉妹。バーチャロンに詳しい友人の話では「次女はイータ寄り調整のデルタ」で、三女は「ガンマ寄り調整のデルタ」だそうです。この「〜寄り調整の」って感覚は、本当に触っている人にしか解らない微妙なところなんだろうな、と感心してしまいました。
 さらにその友人のおかげで、ゲームにより近い記述へと訂正……いやもう、本とサイトだけで情報得てるだけじゃダメね。

・HBV-512-E2 "RAIDEN 512E2"
 アダックスが第五プラント「デッドリー・ダッドリー」の元スタッフを大量に雇用したことにより、伝説の名機は三度市場へと帰ってきた。
 以前よりは格段にコストダウンがはかられたが、それでも高価な機体であることは変わらない。寧ろアダックスはライデンの高級ブランド化をはかり、意図的に贅沢なバーチャロイドとして作っているようだ。よって、装備バーチャロイドをライデンで統一する部隊というのは、火星戦線ではまだ見られないようだ。最も、S.H.B.V.D.だけは別で、いち早く定数を揃えるべく発注をかけている。
 E2型はこれまでのライデンを踏襲した、オーソドックスな仕様に仕上がっている。そのため信頼性も高く、中小の企業でも指揮官機用に少数購入するという手法が良く見られる。

・YZR-]V war "SPECINEFF 13 "The War""
 第六プラント「サッチェル・マウス」の特務バーチャロイド。極めて特殊な仕様であるスペシネフの中でも、近接攻撃に特化して調整されたバリエーション……でいいのかな? 作中だとなんか、殴ってばかりですみません。スペシネフの系譜はどれも、クセのある特殊兵装と爆発力のある格闘戦が魅力である。
 因みに本機を含め、スペシネフ系には黒い噂が絶えない。しかし、そんな怪しげな都市伝説を含めて、メディアはこの機体を非常にもてはやす傾向がある。電脳暦の人々は娯楽である限定戦争に「ダークヒーロー」を求めているのかもしれない。
 俺も何となく、ルインはスペが似合いそうだとは思った。何か、EVLバインダーと相性よさそうじゃん、あいつ(笑)シャドウかスペシネフか、って感じだよな、性格的に。

・YZR-8000Δ "MYZRΔ"
 強行型マイザー、って公式には書いてあるな。三種のマイザーは俺の中で「制空戦闘機としてのデルタ」「マルチタスク戦闘攻撃機としてのイータ」「戦闘妖精・雪風的なガンマ」ってイメージなんだけども。
 第六プラント「サッチェル・マウス」でアイザーマン博士が生み出した、バイパー、サイファーの流れを汲むTRV(Tactical Recognaissive Virtuaroid)である。高い機動力と運動性を持つ反面、耐久性は心許ない。が、神出鬼没にして一撃離脱の運用で、マシュー艦隊の主力として大活躍しているようだ。
 因みにデルタ、MARZゲーム本編では毒蛇三姉妹の機体として(無論、素のデルタも出る)登場する。俺はさー、折角三姉妹なんだから長女がデルタ、次女イータで三女がガンマとか、振り分ければいいのに……と思ったことよ。容量の関係ですかね? まあ、テムゲーだって言えばそれで終わりだけどサ。

・RVR-62-D "APHARMD T typeD"
 第二プラント「トランスヴァール」の傑作機、アファームドタイプは非常に拡張性の高い機体として火星圏でも人気を博した。大きく分けてJ型(近接格闘戦仕様)とT型(中距離支援戦仕様)の二タイプに別れ、双方とも多彩なバリエーション展開を見せている。
 本機はT型の一種で、アダックスのVOX系バーチャロイドの運用を参考に生み出されたバリエーションである。タイガー・ランチャーと呼ばれるミサイル兵器を軸に、前線を側面および後方から支える支援機として高い評価を得ている。
 これもひとえに、アファームドの素体としての評価が高いゆえの結果である。火星戦線ではバーチャロイドは局地戦用or用途別とマルチロール用の二極化が進み、本機はVOX系と並んで火星で最もメジャーなバーチャロイドの一機として、ニュースや娯楽番組を彩ることになる。

・VOX L-48 "Lee"
 VOX系バーチャロイド中、最も運動性と機動力に優れた機体。それもその筈、最大の特徴であるスケルトン・ユニットシステムを搭載していないモデルだから。
 いわゆるVOX系の「中の人」であり、武装はセンターウェポンのミーロフ・ガンシステムのみ! ……だれだ、こんな機体をゲームに登場させたのは(笑)しかし、一部に熱狂的な愛用プレイヤーがいるらしい……いつの時代もいるのね、弱キャラマニアってのは。
 因みにリーは、電脳戦記バーチャロンMARZのドラマチックモードの、第一話に登場するバーチャロイドである。CPUのレベルの低さもあいまって、俺でも倒せる。

・ウォーライター
 限定戦争と言う新たな娯楽を手に入れた人類は、それをより楽しく豊かに享受することを望んだ。そのニーズに応える職業がウォーライターである。彼等は時にバーチャロイドに乗り、時に地を這い駆けずり回って戦場を取材する。そうして得た情報を、より正確によりドラマチックに伝えるのが仕事なのだ。現代の戦場ジャーナリストと違うところは、エンターティメント性が求められるところか。
 因みにフレッシュ・リフォー火星戦線広報課のマビーナ=トルケが社内広報誌用に書き下ろした「テムジン敗走録」は、あの伝説のレヴァナントマーチをほぼ正確に記録した名作として名高い。フレッシュ・リフォーの大本営発表的な意図を完全に排し、概ね事実に基いた必要最低限の脚色がなされているらしい。
 因みに内容の一部に関して、フレッシュ・リフォー経営陣は「マビーナ氏独自の演出」との見解を示している。

・ウィスタリア運営委員会
 ウィスタリアの運営を行う委員会。ってそのまんまやないかい! ウィスタリアは火星戦線に参加する大小様々な企業の共同出資によって運営されている。その為、各企業の代表からなる運営委員会があるのだ。主な仕事はインフラの整備と維持、観光の誘致に補給基地としての各種業務。また、治安維持に関してはMARZに現在は全てを委託している。現在は、ね……

・TA-17 B"Angelan WM"
 憎悪の連鎖は負の連環
 地を駆ける闘争本能も
 やがて見えない翼で天へ

 血を流し涙も枯れ果て
 それでも戦いをやめられない
 退けない理由を抱えるゆえに

 そんな猛々しい勇気をお持ちのあなたに
 今の私を捧げます

 いわゆる一つのエンジェラン「化鳥」である。正式なリリースはVca9年(電脳戦記バーチャロンMARZゲーム本編の時代)であるが、それ以前よりテストタイプを試験的に運用していたようだ。
 エンジェランはフェイイェン同様、オリジナルバーチャロイドを祖とする特殊なバーチャロイドである。その目的は限定戦争においては、主に前線の兵士達の戦意高揚と鼓舞に使われることが多かったようだ。
 化鳥はこれまでのエンジェランとは基本的に異なり、接近戦を重視して調整されている。この為、従来の支援機的なニッチェを失い、運用としてはMBV(メインバトルバーチャロイド)に近い……のだが、そもそもMBV自体が数をそろえての運用が前提なので、その点で配備数の少ないエンジェランは……やっぱり、前線の士気を高める為に用いるのが正しいのかもしれない(汗)可愛い女の子が近接戦闘を頑張ってると、周りの男達も「オッシャァ!(CV:檜山修之)」ってなるもんだよ。た、多分。
 因みに作中の化鳥は、試作型ながらゲーム中のものと全く一緒と思って貰いたい。

・M.S.B.S.
 Mind Shift Battle Systemの略であり、バーチャロイドが生まれる以前より人型機動兵器の制御フォーマットとして開発されていた。バーチャロイドのOSでもあり、パイロットとVコンバーターの仲立をし、細かな動作の補助をする。
 ロボット物における「操縦回りの設定」は重要である……特にリアルロボット物(と一般的に称される作品)では、それは顕著なのだが。バーチャロンはM.S.B.S.の設定により、二本のスティックのみで操縦できるということになっている。端的に言えば精神制御に大半を頼ってるらしい。例えば、転んでも「立てぇ!」ってレバーをグイッとすると立つ……のかな?
 因みにM.S.B.S.には複数のバージョンが存在し、電脳戦記バーチャロンMARZのゲーム本編に登場するのはVer8である。が、作中では創設間もないMARZは、Ver7.5を使用しているようだ。

・HBV-512-E1/c "RAIDEN 512E1/c"
 作中にてとあるS.H.B.V.D.の女性士官、リーネ=リーネ中尉が使用するライデンがこれ。レヴァナントマーチと呼ばれる戦いの終盤に投入された、先行試作型の第三世代型ライデン、その指揮官機仕様(レプリカモデル)である。
 朱色のパーソナルカラーに塗られ、驚異的な撃墜スコアを叩き出している。その数はレヴァナントマーチ中だけでもテムジンを38機(一説には42機)と、飛び抜けている。その搭乗者をして「テムジン殺しのリーネ」と呼ばせる所以である。
 アダックス直営部隊のシンボルとして、常に最前線で逃げ回るテムジンを追い散らしていたが……一度だけ中破して擱座を経験している。
 因みに後付設定だが、朱色のリーネ専用機は、レヴァナントマーチで使用された機体のレプリカモデルである。たっは!

・S.H.B.V.D.
 精鋭パイロットを多数揃え、ライデンの集中運用で多大な戦果を上げてきたコーポレートアーミー。DNAから分化した組織であり、その勇名はここ火星圏にも広く轟いているようだ。
 ……で、あってるだろうか。嘘書いたらいかんからな(汗)
 組織の象徴でもあるライデンがアダックスでの生産に切り替わったことで、自然とアダックスとの結び付きが強まったようだ。現在、多数のパイロットをアダックス直営部隊に現場指揮官として派遣している。

・シュタインボックス(仮)
 シヨさん命名。アダックスは現在、第五プラント「デッドリー・ダッドリー」の技術を継承しており、傑作機ライデンの生産と販売を行っている。従って、VOX系に光学兵器搭載型をリリースする予定は今のところ無い。
 しかしライデンは以前程ではないにせよ、高価で扱いの難しい機体である。
 そんな訳で、自作のユニット・スケルトンを組んだのがこの機体。完全に搭乗者の趣味であり、見た目も直視し難いものに仕上がっている。性能の方は……経済的ではあるようだ。

・ダニエル
 シヨさん命名。過度にボックス・ランチャーを増設した、個人所有の改造機体である。
 操縦者の趣味が全面に押し出されており、性能云々は二の次のようだ。その火力は圧倒的だが、かなり機動性を犠牲にしていると思われる。
 ド派手なその見た目に、見る者は皆呆れてしまうだろう。

・デコレーションボックス
 ユニット・スケルトン・システムの採用で、VOX系は非常に柔軟で多彩なバリエーション展開を見せる名機となった。
 同時にそれは、乗り手の個人的な趣味を体現する格好の表現方法でもある。
 火星戦線で個人所有のVOX系に乗るものは、拡張性の高さゆえに独自の改造を行う者も少なくない。中には、実用性を無視した極端な方向性に走る者も後を絶たない……

・VOX D-102 "Danny"
 ダンのアッパーバージョンで、両足にも小型のボックス・ランチャーを増設している。火力がより向上しており、前線では非常に高い評価を受けている。アダックス直営の部隊にのみ供給されており、なかなかお目にかかれる機会はないようだ。

・VOX D-101 "Dan"
 アダックスの傑作機にして、現在の火星戦線で猛威を振るうVOX系のフラッグシップモデル。
 VOX系のバーチャロイドは、ユニット・スケルトン・システムという主武装換装機構を採用している。これにより、一機のフレームから用途に合わせた多種多様な機体を建造することができるのだ。
 ダンは両手と両肩にミサイルを内蔵したボックス・ランチャーを装備したタイプで、現在最も普及しているバーチャロイドである。火星の各戦線であまりにもダン(とそのVOX系列機)が目立ちすぎる為、国際戦争公司が気を悪くする位である。
 ミサイルを主武装とし、防御力もそれなりに高く、何よりコストに優れる本機。実はMARZでも当初は、ダンを主力バーチャロイドとして導入する予定であった。しかしアダックス側がMARZの存在自体に否定的である為、供給されることはなかったという。

・サヴィルロウ
 ウィスタリアの補給管区にある、集合飲食店。地球圏のあらゆる文化圏の食と酒が堪能できる。その最大の特徴は、バーチャロイドで直接乗り付けることが出来る事。広大な駐機場には昼夜を問わず、さまざまな部隊の機体が並ぶ。
 因みにウィスタリア内でも、事件が頻繁に起こる場所として今後も出てくる……かもしれない。
 勿論、普通にリニアレールや車で行くこともできる。午前中に前線で戦い、お昼に機体を補給に預けてサヴィルロウで昼食を食べ、再び前線で午後も戦う……そんな部隊もあるだろう。そんな時はまあ、お酒は飲まないと思う。多分。

・MBV-707-J/c "TEMJIN 707J/c"
 J型の707系テムジンの指揮官仕様に、一回り大型のスライプナーMk5を装備させたモデル。本来なら小隊長クラスのパイロットにのみ支給されるのだが、どういう訳か一般のパイロットにも広く支給されている。ミドルレンジからクロスレンジでの戦闘を得意とするテムジンに、ロングレンジでの砲戦性能を持たせようと試みた……かどうかは解らないが、前線のパイロット達の評判は芳しくない様だ。
 格好いいのにな、J/c……中途半端なのがいくないと思うのよね、まあ乗ったことないんだけどさ。MARZのゲーム内だと、いわゆるS/V(小説中でアンテナ付って呼ばれてる奴ね)がJ/cに相当すると思うんだけどさ。J/cも747Hみたいに、LWをナパームにしてみるとかどう? ロボオタ的には、J/cって砲戦バーチャロイド的なニッチェを感じるのだが。前ビが三発なのも、一長一短だしなあ……せめてラジカルザッパーが極太ビーム長時間照射とか、駄目? せめて装甲がノーマルのJ型より硬ければな。
 どうでもいいが、J/cのcはCommanderの略っぽいよね……じゃあ、S/VのVって? Valiantとかかな?

・タングラム
 正式名称は時空因果律制御機構タングラムで、第九プラントが開発した。これの使用権を巡って地球圏全土で戦われている限定戦争が、オラトリオ・タングラムである。
 話すと長くなるが、端的に言えば「望む結果を引き寄せる装置」と思えばいいだろう。事象が云々とか、細かく厳密に言えば表現としては大雑把過ぎるが。ようするにドラえもんのもしもボックスみたいな装置ではないかと。
 そんな訳で、星占いってレベルじゃないみたいですよシヨさん……

・レヴァナントマーチ
 Vca7年10月、アダックス主導による火星戦線の戦端が開かれた緒戦時、フレッシュ・リフォーは大規模なバーチャロイド部隊を投入した。地球圏でも最強を誇った、707系テムジンのG型による大部隊である。その意図する所が、新興のアダックスへ威を示す派兵である事は明らかだった。
 しかしながら、フレッシュ・リフォーの経営陣が期待していた戦果は得られなかった。マーズクリスタルの影響で、707系のテムジンはそのポテンシャルを充分に発揮できなかったのである。毎日毎晩、撃破されるテムジンが報道され、それは一部の限定戦争ファンにとって溜飲を下げる結果となった。
 そしてフレッシュ・リフォーの経営陣は、火星圏に対応した新型テムジンの開発を急がせると共に、火星戦線にオンステージした全てのテムジンを最終バージョンであるJ型にアップデートする方針を打ち出す。
 かくして、後にレヴァナントマーチ――死に損ないの行進曲と呼ばれる、悪夢の撤退戦がはじまった。
 アダックスが誇る第三世代型のVOX系バーチャロイドに、質も量も劣るフレッシュ・リフォーのテムジン部隊。しかし本社からのオーダーは一つだけ……一機でも多くの撤退を完遂せよ。追い討ちを掛けるように、アダックスはエースパイロットによる新型のライデンをも投入。あまりに一方的な戦闘が続き、それは国際戦争公司がRNAを介して第二プラント「トランスヴァール」に第三世代型のアファームド開発を依頼する理由の一つにもなった。
 しかしながら、英雄エノア=コーニッシュ少佐(当時は中尉)の恐るべき機転と采配で、フレッシュ・リフォーのテムジン部隊は年が明けてVca8年2月には撤退を完遂、生還した全ての機体がJ型へと刷新された。巧みな遅滞戦闘と粘り強い救助活動、何より潔い逃げっぷりで、テムジンの損耗率は僅か28%だったという。この数字は、デスク組の考えていたものよりも倍以上低い。
 こうしてレヴァナントマーチの伝説は生まれ、背ビレ尾ビレがついて話は膨らむ。
 エノア=コーニッシュは乗機のテムジンを七度乗り換え不屈の闘志で戦った。いや、実際にはテムジンには乗らず、一番安全な場所で指揮を取っていた。寧ろそのような人物は存在せず、フレッシュ・リフォーによる宣伝行為である等……
 終いには、撤退の最後尾を努めた部隊の中に、見慣れぬ試作型のテムジンを見たと言う都市伝説まで生まれる始末である。
 ……無論、真相は定かではない。
 因みにこれは山猫亭のオリジナル設定であり、公式設定では707系テムジンはJ型が当初から投入されていたようである。

・テムジン421号機
 MARZ所属のシヨ=タチバナ三査が搭乗するテムジン707S。
 エリオンの411号機と並んで、最も被弾率が低いシヨの愛機。最も、殺到する攻撃を全て避けるエリオンに対して、シヨは単に狙われることが少ないだけだが。
 初回出動以降、421号機には未熟なシヨに合わせてリミッターが設けられた。その結果、非常に扱いやすく穏やかな特性の機体に仕上がっている。その性能は、市販のJ型とほぼ同じレベルであり、MARZで運用するテムジンとしてはやや心許ない。
 ただ一点だけ、足回りだけは非常に詰められたチューニングがなされており、小回りが非常に利く。操作に対する追従性も素晴らしく、一言で言って「バランスと扱いやすさ重視の初心者用セッティング」である。これもひとえに、整備班の親心からくるもの……らしい。
 シヨでも流石に、愛機に名前をつけたりはしないようだ。

・テムジン422号機
 MARZ所属のルイン=コーニッシュ三査が搭乗するテムジン707S/V。
 ルインは特に、自分の乗機に特別なセッティングを望んではいないようだ。しかしながら、彼はスティックを握ると性格が豹変する"MARZの狂犬"ルイン=コーニッシュである。整備班は四苦八苦しながら、この機体を煮詰めたようだ。
 初回出動以降、422号機は整備班の手で非常に極端なセッティングが施されている。乗り手の癖が移るのか、その出力は非常に不安定で、ツボにはまれば驚異的な数字を叩き出す……事もある。
 あっという間に出力限界が来たかと思えば、突然限界を超えて全力稼動することもしばしば。ようするにムラのある非常に乗り難い機体になったが、ルインは苦も無くこれを乗りこなす。
 セッティングもそうだが、出動するたびにどこか壊れて帰って来る整備班泣かせの機体である。

・フレッシュ・リフォー
 第八プラント「フレッシュ・リフォー」であると同時に、巨大企業国家「フレッシュ・リフォー」でもあり、電脳暦世界における影響力は凄まじい。地球圏でのオラトリオ・タングラムにはDNAサイドへ出資し、バーチャロイドの供給を行っている他、独自の戦力として白檀艦隊をも有する。
 火星ではしかし、新興のアダックスに押され、なかなか思うように市場展開が出来ないでいるようだ。その原因の一つに、主力バーチャロイドである707系テムジンの、火星戦線でのパフォーマンス低下が上げられるようだ。
 現在、未確認ながら傘下の第七プラント「リファレンス・ポイント」に、第三世代型の新型テムジンの開発を急がせているという情報もある。

・アダックス
 第三プラント「ムーニー・バレー」を母体に設立された企業国家。
 火星戦線における限定戦争を積極的に開催し、最新鋭の火星圏対応型第三世代バーチャロイド、VOX系を多数デビューさせている。
 また、フレッシュ・リフォーが第五プラント「デッドリー・ダッドリー」に圧力を掛けて潰した際に、ライデン系列の生産ラインをも引き継いでいる。
 他にも10/80(第一世代型テムジンの簡易量産型)をライセンス生産するなど、近年は精力的な活動が確認されている。

・WVC
 正式名称はウィスタリア・バーチャロイド・チャンネル。
 ウィスタリアに関するバーチャロイドのあらゆる情報をコンテンツとする、一大ニュースサイト。ローカル局ながらもウィスタリア内では抜群の人気を誇る。
 主なコンテンツはMARZと暴走バーチャロイドの乱闘事件であるが、他にも最新鋭バーチャロイド情報や、火星戦線の戦況などの最新情報がウリ。その取材攻勢は呆れるくらいに熱心。

・ウィスタリアRJ
 正式名称はウィスタリア・リプレニッシュ・ジャンクション。
 火星にある、元テラフォーミング用施設跡地を利用した、超大規模補給物資集積所。100社を超える企業の共同出資によって運営されており、実質上の中立地帯となっている。また「少しでも近くで限定戦争が見たい! 生の限定戦争が見たい!」というキチガイ物好きの為の観光地でもある。
 火星戦線全域の、実に18%の兵站を支える一大補給基地、ウィスタリアRJ。その敷地は半径15キロ四方にも及び、それ自体が巨大な都市機能を有している。元は旧暦時代のテラフォーミング施設を拡張し、都市として発展させたものである。意外と何でもあり、訪れる観光客や限定戦争に参加する兵士達を驚かせる事も多数。
 主な用途がバーチャロイドの補給であるため、色々な物がバーチャロイドサイズという巨人達の町。Vca8年4月現在、常時400機近くのVRが出入りしている。補給協約を結ぶ勢力は、ウィスタリア内での戦闘禁止を含む、ウィスタリア自治法の遵守が義務付けられる。

・VOX B-248 "Bobby"
 本作オリジナルバーチャロイド第一号。最も早くデビューした第三世代型「アダックス」製VOXシリーズの改造機。通称ボビー。
 地球圏にて、一部の兵士に強烈な支持を得た名機ドルドレイ……その流れを汲む機体として「VOX B-240 "Bob"」がリリースされた。しかし、過去の強固な装甲と強力な一点突破力に魅了された者達にとっては、どうやら満足のいく製品ではなかったようだ。
 その反響に憤慨した一部の製作スタッフが悪ノリしてしまった。
 特徴的な武装であるMALS-D21(ドリル)は、一回り巨大なMALS-D24を両手に装備。装甲面でも僅かながら防御力の強化に成功した。が……どうやら致命的に取り回しが悪いらしく、量産には至らなかった。

・RVR-24-C "APHARMD J typeC"
 第一話に登場したアファームドタイプがこれのようだ。VOX系と並んで最も早く火星戦線にデビューした第三世代型の一機で、高い近接格闘戦能力を持つ。第二プラント「トランスヴァール」製。落ち武者同然で前線から撤退してきた乱闘後の損耗状態でなければ、リーインはもっと苦戦しただろう。

・MZV-707-S "TEMJIN 707S"
 MARZで現在運用されている主力バーチャロイド。707系のテムジンとしては、現行機でも最高のチューニングが施された高性能機だが、707系自体の火星での不利は払拭できない。それでも高い汎用性と独自の魔改造で、火星のアチコチで治安維持に活躍中である。

・MZV-707-S/V "TEMJIN 707S/V"
 707Sの指揮官用モデル。と言っても、携行するスライプナーMk4の出力マネジメントに変更がある以外は大きな変わりは無い。外観上は頭部パーツが異なり、通信機能が強化されている。S/Vが俗に「アンテナ付」と呼ばれる所以である。

・テムジン411号機
 MARZ所属のエリオン=オーフィル三査が搭乗するテムジン707S。
 エリオンに合わせたセッティングが施されており、そのチューニングはかなりピーキーである。外見上はテムジン707Jと変わらないが、乗り手と相まってかなりのポテンシャルを発揮しているようだ。
 主に攻撃力と機動力に重点が置かれており、相対的に防御力は心許ない。しかしながら、限界まで魔改造が施されたマインドブースターは、瞬間的にではあるが第三世代型に肉薄する出力をVコンバーターより搾り出している。
 因みにエリオン以外が操縦すると、まともに歩けないらしい(またそゆ設定を……)
 ――こう書けば凄い機体に見えるが、単に一個人に極度に最適化されただけのテムジンで、トータル的には慢性的なパワー不足に悩まされている。

・テムジン412号機
 MARZ所属のホァン=リーイン三査が搭乗するテムジン707S/V。
 リーインの意向で、全体的なトータルバランスを重視したセッティングが施されている。その為、最近市場に出回りはじめた最終モデル、707Jの純粋なアッパーVer的性能に落ち着いているようだ。
 瞬間的なトップエンドを潔く切り捨てて、常時扱いきれるパワーを追及した結果がこの機体である。リーインの技量とあいまって、攻守にわたり終始安定しているものの……マーズクリスタルに殆ど影響されない第三世代型バーチャロイドを前に、やはりパワー不足の感は否めない。
 必殺技はバクチ気味の前ビ三斉射(嘘)

・MARZ
 日々激化する火星戦線では、たびたび限定戦争のレギュレーションを無視した悪質な事件が横行するという事態を招いた。その現状を是正し、木星継承戦争の健全な運営を目的に、とある人物により創設されたのがMARZである。
 MARZの主な任務は、火星戦線における治安維持だが……秘密裏に本来の目的があるとも言われているが、その真偽は定かではない。
 ようするに! MARZとは火星での限定戦争における外注憲兵部隊である。もっと簡単に言えば(これは私的見解だが)おまわりさんだと思って差し支えない。

・木星継承戦争
 木星及び火星に存在するクリスタルを賭けた、地球圏外での大規模限定戦争。その主戦場は主に、テラフォーミングが中途で頓挫した火星で戦われる。しかし火星ではマーズクリスタルの影響により、地球圏で運用されてきた従来のバーチャロイドはその能力を充分に発揮する事が出来なかった。
 その為火星戦線では、第三世代型と呼ばれるマーズクリスタルの影響を受けない新型バーチャロイド達がデビューする事になり、より苛烈な限定戦争が戦われる事となった。
 ようするに! 火星全土をコロシアムにした超盛大な限定戦争である。各企業国家がこれに参加する主な理由は、バーチャロイドの動力源になるVクリスタルの確保らしい。
 最も、純粋なショービジネスとして戦われてる気がしないでもない。

・限定戦争
 電脳歴の世界において、企業国家間の諸問題を解決する最も洗練された手段。同時に、全人類の大半から熱狂的に支持されるエンターティメントでもある。主に巨大人型機動兵器であるバーチャロイドを用いて、明確なレギュレーションの元に戦われる。
 当事者たる企業国家同士は、勝敗に関する全ての責任を互いに負う……基本的には、であるが。
 ようするに! 話し合いで解決できない揉め事を、大勢の前でルールに則り予算内で、巨大ロボット同士のガチンコバトルで白黒つけよう、という主旨の局地的な戦争行為を指す。

・バーチャロイド
 本来バーチャロイドは、月の遺跡(ムーン・ゲート)発掘の後に見出された異世界、電脳虚数空間への突入を目的として開発された。しかし、あらゆる常識の通じぬ電脳虚数空間を前に、その本来の機能は開発が頓挫し、結果的に限定戦争用の巨大人型機動兵器としてバーチャロイドは世にデビューすることとなる。
 退屈していた人類に、バーチャロイドは絶賛を持って迎えられた。
 ようするに! 本来は異世界へと突入する多次元移動マシンみたいな物として作られたんだけど、そっちのほうは上手く出来なくて……結局戦争用の巨大ロボットとして完成しました、というのが実状である。

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