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・ラーズグリーズ
 サキネが勝手に手持ちの素材(ランドグリーズと同じ雌火竜素材と思われる)で改造してしまった、工房試作銃槍の成れの果て。もともとがガトリングランスを強引に中折れ式にしたガンランスだったが、その砲身内に合金製のステーク(杭)を仕込まれ、まるで別物になってしまった。砲撃タイプは前代未聞の「貫通型」、装填数は僅かに一発のみ。トリガーと同時に火薬カートリッジが発火して、強力な力で標的にステークを打ち込む。構造上、竜撃砲は使用不能になっている。3G風に言うならば「リミッター解除したガンランス」というところだろうか。ノジコさん、ご愁傷様。
 因みにアズラエルの言っているヴァルキュリア・ブランドというのは、北海出身のブラックスミスとして高名な職人、スイート・ナーワー氏がデザインした一連の武器群を指す。同ブランドには大剣のブリュンヒルデやスラッシュアクスのランドグリーズがある。スイート・ナーワーのヴァルキュリア・ブランドは有名で、武具に無頓着なアズラエルでさえも知っていることからその評判は知れるだろう。しかしまさかスイートさんも、遙か東方のシキ国で自分の作品(しかもボツ作品)が再現されるとは思ってもみなかったのではないだろうか。勿論、ゲーム中には登場しない小説オリジナルの武器である。

・象
 シキ国での属性武器の、各属性の値を計る単位。象(ショウ)と読む。シキ国だけで使われる単位で、これが他国の地域(ドンドルマやミナガルデがある西シュレイド等)では「エレム」という単位が使われる。ゲーム内の数字でも解るように、大雑把に換算すると「1象=10エレム」である。例えばサキネの新しい武器、レッドウィングの属性値は30象……これが同じ武器で西シュレイドならば、300エレムということになる。火や氷、水等様々な属性が武器には付与されるが、単位は全て同じである。

・発煙筒
 釣竿やなんかと一緒にモンスターハンターが常に携帯する道具の一つ。端的に言えばゲーム内の「ピコンピコン」である。これについては公式な設定はなく、あくまでゲーム内の機能だが……それを実際の狩りの物語に組み込むとなると、非常に頭を悩ませることになった。臭いや音の類では、飛竜を刺激してしまうからだ。狩猟の対象に気付かれることなく、別のエリアのハンターに合図を送る方法……考えた結果、煙幕ということで落ち着いた。勿論、全員が違う色を携帯することになっている。

・轟く遠雷亭
 ユクモ村で村人達を相手に商いを営む酒場。客は村民は無論、観光客から行商の者まで多種多様で、勿論モンスターハンターの面々も顔を出すことが多い。昔からどこの国でもそうであるように、その地域の最先端の情報が手に入る。ぶっちゃけて言えば、前作(P2ndG以前)にあった集会所のような雰囲気である。因みに歓迎されてるので、モンスターハンターの主要キャラ達は皆、この酒場にマイグラスを預けてある。その意匠や趣味を妄想するのも一興というところだろうか。勿論、サキネさんのグラス(というかジョッキ?)にはデカデカと「求む!嫁婿!」と書いてある。……この人には多分、恋愛という観念がそもそもないんじゃないかと思えてきたヨ。

・オーバークラウンサイズ
 モンスターハンターが狩るモンスターは、それぞれに標準となるサイズがギルドによって定められている。それよりも極度に大きかったり小さかったりするものには、特別な称号が与えられ、それを狩った者はギルドに名が残る。モンスターハンターは誰しも、狩猟を日々の糧とすると同時に、どこかで珍しい個体との遭遇を心待ちにしているのだ。……た、多分。アズ子とか全然興味なさそうだけど。
 基本的に標準よりも大きい、あるいは小さい個体をシルバークラウンサイズという。俗に言う「銀冠」である。また、極度に大きいか小さいものをゴールドクラウンサイズ、通称「金冠」と呼ぶ。だが、それすらも超越する個体にはオーバークラウン、「超冠」の名が与えられる。西シュレイド地方で俗に言われる、銘入りと呼ばれる飛竜達が例えばそうである。オーバークラウンサイズのモンスターはほぼ全てが極度に大きく、非常に好戦的にで獰猛、強力な殺傷力と無尽蔵の体力を持つとされる。西シュレイドの王立学術院ならば、迷わず銘入り認定を出すであろう猛獣ばかりである。

・冴津
 シキ国中程にあり、海に面した小国。一応名目上は朝廷の領土であり、帝より守護を命じられた豪族、渡辺一門が治めている。しかしどこの国もそうであるように、戦国乱世真っ最中のシキ国にあって、冴津もまた隣国との領地防衛戦争に明け暮れていた。朝廷は名ばかり、帝はお飾りなのがシキ国の実情で、シキ国の中に無数の領地や荘園が独立国家のごとくのさばっている。
 冴津は少し前に、領主たる渡辺一門にお家騒動があったが、今は新しい若殿(非情に眉目秀麗で美形と評判の、どこか色っぽい殿様らしい)が平和に収めている。戦は絶えないが隣国との折衝にも長けた統治が続き、領内のどこの町も村も平和に繁栄している。今の若殿の代になってからは他国への侵略はせず、今ある領地の拡充を第一に栄えてきた。しかしながら隣国との国境線を廻る諍いは絶えず、また侵略に対しては常に武器を取り、これを退けてきた。この冴津の奥深くにユクモ村があり、広大な砂丘を挟んで栄津や照津といった国と並んでいる。冴津の民が砂海と呼ぶこの不毛の砂丘が、この国の地の利でもある。主産業は農耕だが、若殿の方針で貿易も盛んである。
 なお、この冴津や栄津、照津といったシキ国内のいわば藩的なものは本作のオリジナル設定で、原作のモンスターハンターには存在しない。ユクモ村のある冴津については、十六世紀後半の戦国時代、島津藩をイメージして頂ければ分かりやすいと思う。閉鎖的な東の最果てに浮かぶ孤島、シキ国にあっては比較的オープンなお国柄で、ユクモ村のような僻地では異国人は珍しいが、城下町ともなれば雑多な人種が行き交う国際的な港町……そういう雰囲気の土地柄である。

・竜人族
 この世界に住む亜人で、個体数こそ少ないものの、その種類は多岐に渡る。ドンドルマの大老殿や古龍観測所に見られる、殆ど人類と外観の同じ者達から、飛竜種同様にヒレや鱗、甲殻を持つ者達まで様々である。つまるところ「人類以外の亜人種全部」の総称が竜人族なのだ。因みに過去の作品では、西シュレイド王国王立学術院の筆頭書士、エフェメラさんが竜人族である。……それ故の苦労も魔女さんにはあるらしいゾ。
 中にはサキネ達のように、美しい両性具有の女性のみで構成される種族もある。これは極めて特殊な希少種だが、総じて竜人族は人目を避けて暮らす傾向があるようだ。ドンドルマのような例外の場所は兎も角、人類とは生活様式や文化等が違うこともあってか、同じ種族同士で小さなコミュニュティを作り、その閉鎖社会で暮らす者達も少なくない。また、人類側の竜人族に対する扱いも様々である。迫害や差別がある地域もあれば、共存してる地域もあり、崇拝している地域もあるのが現状である。

・シキ国
 世界の東の果てに浮かぶ絶海の孤島。西シュレイドやその他の国家、自治体との交流はほぼないに等しい、閉ざされた国である。しかしながら僅かに、太刀の伝来や太古の異能者の末裔等、行き来はある様子。表立っては世界から孤立した、謎多き島国である。
 その実情は、文明レベルこそ西シュレイドや各国と同等であるものの、独自の文化を発展させている。また政情が不安定で、一つの国家として朝廷が治めているということになっているが、既にそれは形骸化している。実際には各地の豪族等が領地を我が国として領土拡大に明け暮れる、戦国乱世の真っ只中にある。今時ちょっと見ない武家社会、弱肉強食の群雄割拠状態なのだ。

・工房試作銃槍
 ノジコさんがシキ国に旅立つ際に持たされた、王立工房自慢の逸品。……と言えば聞こえはいいが、ぶっちゃけ「ガンランス仕様に改造したガトリングランス」である。工房の責任者であるアイザーマン主任が、ドンドルマでのガンランス実用化に対抗して作り上げた。その為、見た目はガトリングランスそのまんまで、盾の意匠も同様である。突貫作業で作られたものでもあり、中折れ式を採用した通常型のガンランスに仕上がっている。勿論、今後ノジコさんが色々な素材を手に入れられれば、改良と改造を経て強力なガンランスになる……かもしれない。本作の捏造武器第一弾、でも本編での活躍はもうちょい先だよん。

・西シュレイド王国
 古きシュレイド王家の血を守る、立憲君主制の国家。その名の通り旧シュレイドの西側半分を領土とする。その歴史は意外に浅く、数百年前に旧シュレイドが謎の滅亡を遂げた折に、王家の末裔が生き延び興した国であるという。今もって国王が全権を掌握し、古き伝統を重んじて民を治めている。ハンターズギルドにある程度の権益と自治を認める傍ら、王立学術院の書士達による知の探求にも意欲的な国である。首都は王都ヴェルド。
 この所は名君による平和な統治が続き、王室への国民の信頼は厚い。現在の王も名君で知られ、強力な騎士団を複数持ちながらも、隣国との諍いを避け善政を布いている。王妃も慈悲深く人気が高い。また、聡明で文武両道の第一王女、知略に長けた第二王子、我侭な第三王女と、子宝にも恵まれた。

・王立学術院
 西シュレイド王室直轄の知的探求機関。多くの書士を世界各地へと派遣し、飛竜や野生動物の生態から旧世紀の遺跡や遺産等、様々な分野を研究している。その権限は驚く程に強く、王立学術院の書士達は国内であれば、かなりの越権行為が許される。故にエリート集団と言っても過言では無い。書士達はハンター達同様自然に分け入り現地調査をする者と、王城内の書庫で資料の整理や分析、ディスカッションをする者とに分けられる。
 王立学術院に関しては、巷でこのような噂がまことしやかに囁かれているので紹介する。曰く、彼等彼女等こそが、王室が騎士団とは別に、独自に保有する最終戦力なのだと。王城の工房より最新の武具を取り揃え、一流のハンターや騎士達に劣らぬ猛者揃いの戦闘集団……その力は王家を守る為だけに存在する。あくまでも噂であり、真偽の程は定かでは無いが。

・龍脈と龍穴
 かつてラグオルと呼ばれたこの星を、縦横無尽に走る巨大な氣の流れ。人はそれを龍脈と呼ぶ。龍脈からは目に見えぬ強力な氣が湧き出ており、その流れは星の隅々まで巡り……龍穴と呼ばれるパワースポットへと注ぐ。龍脈および龍穴は、地政学的にも重要な地であり、どちらも農耕や畜産等に多大な恩恵を与える。一方で、氣の力を求めるかのように、龍脈や龍穴には古龍が襲来するという側面も併せ持つ。
 太古に栄えた先史文明では、龍穴に塔を立て、龍脈を制御する事で惑星の環境を制御しようとしていた。また、塔より龍脈の氣を吸い上げ、古龍達を防衛システムとして運用していた様である。そのシステムは完璧な惑星管理を行っていたが、何らかの理由で暴走し、先史文明の人類に牙を向いたのだ。その長き混迷の時代を、今は御伽噺や民話伝承の中に垣間見る事が出来る。

・ケースD
 それは人智を超えた絶対強者、世界のヒエラルキーの頂点に君臨する古龍達との闘争の歴史。統一シュレイドの時代より脈々と紡がれて来た、人間と古龍の壮絶な死闘を克明に記録した文献である。その時代その時代で、如何に人類が古龍の脅威と戦って来たかを、その手段や状況、使用された兵器や武具までが詳細に記録されている。このケースDを参考に、大老殿の長老が築き上げたのが対古龍迎撃用城砦決戦都市ドンドルマと、古龍観測所である。
 ケースDのDとはドラゴン(Dragon)のDであり、災厄(Disaster)のDを指す。その余りに壮絶な内容から、一般への公開は愚か、学術院の一般職員ですら存在を知らされていない。それ程までに古龍との闘争は、人類にとって過酷だが避けられぬ試練なのだ。正しく種の生存を賭けた闘いと言ってもいいだろう。その永き闘争を生き抜くべく、人類が英知を結集して後世に残す、未来への遺産……それがケースDである。
 余談だが、近年このケースDに新たな一頁が加えられた……それも驚くべき内容が。古龍迎撃用の設備を一切持たぬココット村で、老山龍の撃退に成功したというのだ……しかも、僅かに数十名のモンスターハンター達の手で。現在西シュレイド王国では、この事実を確認すると共に、決定打となったとある少女の行方を全力で捜索中であるが……その足取りは掴めて居ない。

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