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・銘入
 特別に強力な飛竜や怪鳥の個体を指す。金冠サイズの巨躯に、一際獰猛な攻撃性…そして高い知能。その危険性は古龍種にも匹敵するという。主にハンターズギルドや王立学術院が、被害状況や遭遇報告を元に認定する。その際、名称に"龍"の銘を冠して識別されることが、銘入と呼ばれる所以である。代表的な銘入に焔龍リオレウス、后龍リオレイア等が存在する。銘入との遭遇は狩人にとって、死を意味すると言っても過言ではない…にも関わらず、富と名声を求めて挑む者は後を絶たない。
 余談ではあるが、全ての飛竜種は、遥か太古の昔に古龍種より枝分かれしたとする学説がある。その真意の程は定かでは無いが、世界各地にこの学説と酷似した伝承や民話があり、王立学術院の書士達が日夜探求を重ねている。彼等に言わせれば、銘入とは"全ての飛竜に眠っている龍の因子が、突然変異により顕在化した個体"であるとの事だが…今では神話の時代となった旧世紀を、正確に知る手立ては失われて久しい。

・西シュレイド王国
 古きシュレイド王家の血を守る、立憲君主制の国家。その名の通り旧シュレイドの西側半分を領土とする。その歴史は意外に浅く、数百年前に旧シュレイドが謎の滅亡を遂げた折に、王家の末裔が生き延び興した国であるという。今もって国王が全権を掌握し、古き伝統を重んじて民を治めている。ハンターズギルドにある程度の権益と自治を認める傍ら、王立学術院の書士達による知の探求にも意欲的な国である。首都は王都ヴェルド。
 この所は名君による平和な統治が続き、王室への国民の信頼は厚い。現在の王も名君で知られ、強力な騎士団を複数持ちながらも、隣国との諍いを避け善政を布いている。王妃も慈悲深く人気が高い。また、聡明で文武両道の第一王女、知略に長けた第二王子、我侭な第三王女と、子宝にも恵まれた。

・ギルドナイト
 狩りの掟と秩序を守る、モンスターハンター達の守護者。ハンターズギルドの権益を守る為、極秘裏に集められた戦力でもあり、メンバーは一騎当千の猛者揃いである。その為、ギルドマスターより強大な権限を与えられ、時には"狩人を狩る狩人"と恐れられる事もある。
 その活動は多岐に渡り、禁猟句の監視や密漁の摘発、危険すぎる銘入の討伐等様々。時にはギルドマスターの全権代理人として、王国に対して交渉に赴く事もある。その強さは一人で一軍に匹敵するとも言われているが、表立った行動が無い為、その真偽の程は定かでは無い。普段はギルドナイトである事を隠し、モンスターハンターが集う街に常駐している。

・王立学術院
 西シュレイド王室直轄の知的探求機関。多くの書士を世界各地へと派遣し、飛竜や野生動物の生態から旧世紀の遺跡や遺産等、様々な分野を研究している。その権限は驚く程に強く、王立学術院の書士達は国内であれば、かなりの越権行為が許される。故にエリート集団と言っても過言では無い。書士達はハンター達同様自然に分け入り現地調査をする者と、王城内の書庫で資料の整理や分析、ディスカッションをする者とに分けられる。
 王立学術院に関しては、巷でこのような噂がまことしやかに囁かれているので紹介する。曰く、彼等彼女等こそが、王室が騎士団とは別に、独自に保有する最終戦力なのだと。王城の工房より最新の武具を取り揃え、一流のハンターや騎士達に劣らぬ猛者揃いの戦闘集団…その力は王家を守る為だけに存在する。あくまでも噂であり、真偽の程は定かでは無いが。

・唯一の翼
 太古の昔より、世界各地で語り継がれて来た伝承群の総称。または、それらを元に作られた民話や御伽噺、戯曲等を指す。その内容は「世界の危機を伝説の蒼火竜が救う」という類の物で、歴史的真偽の程は定かでは無いが。"赤い輪の狩人"と並んで、様々な国で(細部の差異こそあれ大まかに同じ話として)子供達に語られている。
 嘗て存在した、太古の超科学文明。今では旧世紀と呼ばれる神話の時代も、永きに渡る戦乱の末に滅び去った。それから再び、文明を築き上げて現代に至る、その最初の一歩が記されるまで。失われた空白の歴史が存在する。世界各地に残る"唯一の翼"の伝承は、その時期に起こった歴史的事実を、何らかの形で後世に残すべく記された物との見解もある…が、その真偽を確かめる術は未だ得られていない。

・八岐宗家
 遥か太古の昔、朝廷統治時代のシキ国を追われた土着の民…その八つの氏族の総称。旧世紀に失われた超常の力を、その血に色濃く残す異能の民。その力故に迫害され故郷を失い、多くの苦難の果てに大陸へと流れ着き、統一シュレイドの時代より今日まで、高名な商家として栄える。その力は龍脈を読み、流通や農耕等の経済活動に多大な恩恵をもたらした。嘗ては古龍や飛竜さえも使役する者も居たとか。
 読んで字の如く八つの血筋からなり、大蛇丸家を筆頭に、男系の倶利伽羅丸家、叢雲丸家、沼矛丸家、十拳丸家が、女系の櫛名田丸家、菊理丸家、木花丸家が有る。これらは大昔のシキ国脱出の際に各家が用いた方舟の名に由来する。今ではどの家も血は薄まり、その力も衰え潰えた筈だが…時折、力の強い者が生まれる事もあるようだ。

・龍脈と龍穴
 かつてラグオルと呼ばれたこの星を、縦横無尽に走る巨大な氣の流れ。人はそれを龍脈と呼ぶ。龍脈からは目に見えぬ強力な氣が湧き出ており、その流れは星の隅々まで巡り…龍穴と呼ばれるパワースポットへと注ぐ。龍脈および龍穴は、地政学的にも重要な地であり、どちらも農耕や畜産等に多大な恩恵を与える。一方で、氣の力を求めるかのように、龍脈や龍穴には古龍が襲来するという側面も併せ持つ。
 太古に栄えた先史文明では、龍穴に塔を立て、龍脈を制御する事で惑星の環境を制御しようとしていた。また、塔より龍脈の氣を吸い上げ、古龍達を防衛システムとして運用していた様である。そのシステムは完璧な惑星管理を行っていたが、何らかの理由で暴走し、先史文明の人類に牙を向いたのだ。その長き混迷の時代を、今は御伽噺や民話伝承の中に垣間見る事が出来る。

・ケースD
 それは人智を超えた絶対強者、世界のヒエラルキーの頂点に君臨する古龍達との闘争の歴史。統一シュレイドの時代より脈々と紡がれて来た、人間と古龍の壮絶な死闘を克明に記録した文献である。その時代その時代で、如何に人類が古龍の脅威と戦って来たかを、その手段や状況、使用された兵器や武具までが詳細に記録されている。このケースDを参考に、大老殿の長老が築き上げたのが対古龍迎撃用城砦決戦都市ドンドルマと、古龍観測所である。
 ケースDのDとはドラゴン(Dragon)のDであり、災厄(Disaster)のDを指す。その余りに壮絶な内容から、一般への公開は愚か、学術院の一般職員ですら存在を知らされていない。それ程までに古龍との闘争は、人類にとって過酷だが避けられぬ試練なのだ。正しく種の生存を賭けた闘いと言ってもいいだろう。その永き闘争を生き抜くべく、人類が英知を結集して後世に残す、未来への遺産…それがケースDである。
 余談だが、近年このケースDに新たな一頁が加えられた…それも驚くべき内容が。古龍迎撃用の設備を一切持たぬココット村で、老山龍の撃退に成功したというのだ…しかも、僅かに数十名のモンスターハンター達の手で。現在西シュレイド王国では、この事実を確認すると共に、決定打となったとある少女の行方を全力で捜索中であるが…その足取りは掴めて居ない。

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